【LBFF】THE SKIN I LIVE IN(英題): 舞台挨拶/Q&A

ペドロ・アルモドバルの最高傑作”~出演女優マリサ・パレデスが断言

※『私が、生きる肌』のタイトルで、2012年5月26日(土)TOHOシネマズシャンテ、シネマライズ他全国ロードショー

舞台挨拶に登壇した(左から)映画祭プログラミングディレクターのアルベルト・カレル・ルゴ氏、マリサ・パレデスさん、スペイン大使ミゲル・アンヘル・ナバーロ・ポルテラ氏

第8回ラテンビート映画祭(LBFF)初日の9月15日、スペインのペドロ・アルモドバル監督の最新作で、今年の第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品された『THE SKIN I LIVE IN(英題)』が新宿のバルト9で上映された。
上映の前後には、本作の出演女優マリサ・パレデスさんが舞台挨拶およびQ&Aを行った。アルモドバル作品の常連でもあるスペインの大女優マリサさん、アルモドバル作品のテーマカラーとも言える真っ赤なドレスに身を包み、にこやかに登場。まさに自身が出演した『オール・アバウト・マイ・マザー』のイメージを彷彿させた。

マリサさんが本作で演じるのは、形成外科医ロベルト(アントニオ・バンデラス)の家の家政婦マリリア。マリリアはロベルトの抱える秘密をただ一人知っており、彼の行動に理解を示し、時に危険に自ら立ち向かうという勇気ある女性だ。アルモドバル作品への出演は本作で5度目というマリサさんは開口一番、「この映画はペドロ・アルモドバルの最高傑作です」ときっぱり。「アントニオ・バンデラスやエレナ・アナヤは素晴らしい演技を披露しています。凄惨なシーンも多いけれど、皆さんが気に入ってくださるのを願っています」と、LBFFでの観客の反応に期待を寄せて、一度舞台を降りた。

(左より)アルベルトさん、マリサさん

上映終了後のQ&Aにマリサさんが再び登壇。本作の脚本を読んで「とにかく驚いた」そうだが、「(マリリア役は)今まで演じてきた役とは違ったので、逆に気に入りました。同時にこれは自分の女優人生において、大きな契機になる作品だと思いました」と出演を快諾したという。

また、アルモドバルが本作を撮るまでの経緯についても、「アルモドバルは原作の小説(注:フランスの作家ティエリー・ジョンケのミステリー「蜘蛛の微笑」)の映画化の権利を買っていたんです。でも、アントニオ・バンデラスが出演できる機会を、長い間待っていました。彼の他にも、役に見合うふさわしい俳優を探していたんです」と明かしてくれた。上映前に触れていた”凄惨なシーン”については、「(バンデラス演じる)ロベルトはある人物に復讐したいと思っています。その復讐を完遂する力があるということを描くためにも、必要だったのです」と真摯に語ってくれた。

そして、恐らく観る人の見解が分かれるであろうラストシーンだが、マリサさんは「とてもアルモドバルらしいですね。緊張と笑いのあるアルモドバル的な世界。彼の映画の本質はユーモアなんです」と、さすがに5つものアルモドバル作品に出演しているだけあって、マリサさんはアルモドバル映画の世界観をさらりと披露し、ベテラン女優らしい風格を漂わせた。

観客からの質問に答えるマリサさん

すべてのQ&Aが終わったのは、午後11時30分を過ぎていた。最後に「終電が近いのに、こんなに多くの方が残ってくださって、ありがとう!」と観客への感謝と気遣いのコメントを残したマリサさん。「まだまだアルモドバルの作品に呼ばれ続けたいわ」とも語っていたが、これからもアルモドバルの世界を彩る不可欠な女優として、さらなる活躍に期待したいと思う。

取材・文:富田優子

≪プロフィール≫
マリサ・パレデス Marisa Paredes
1946年マドリッド生まれ。60年代から舞台やテレビで活躍後、アルモドバル監督作品に数多く出演。アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)では、多くの女性たちの悲しみを代弁する舞台女優を熱演し、高く評価される。『THE SKIN I LIVE IN』は13年ぶりのアルモドバル作品となる。
主な出演作品:『バチ当たり修道院の最期』(83)、『ハイヒール』(91)、『パリ空港の人々』(93)、『私の秘密の花』(95)、『深紅の愛 DEEP CRIMSON』(96)、『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)、『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)、『デビルズ・バックボーン』 (01)

▼『THE SKIN I LIVE IN(英題)』作品情報▼
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス
製作国:スペイン
製作年:2010年
原題:LA PIEL QUE HABITO
公式サイト&予告編:http://www.lapielquehabito.com/
配給:ブロードメディア・スタジオ


▼第8回ラテンビート映画祭開催概要▼
【東京】9月15日(木)~19日(月)
会場:新宿バルト9(新宿三丁目イーストビル9階)
【京都】9月22日(木)~25日(日)
会場:T・ジョイ京都
【横浜】10月7日(金)~10日(月・祝日)
会場:横浜ブルク13(TOCみなとみらい6階)
公式サイト:http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/
公式ブログ:http://lbff.blog129.fc2.com/


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