速報!『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』が刊行
イスラーム映画祭公式パンフレット『イスラーム映画祭アーカイブ』全6冊を1冊にまとめた、『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』(出版社Type Slowly/B5サイズ、オールカラー、208ページ、税込3,000円)が2026年2月10日に刊行される。
イスラーム映画祭は、2015年12月にスタート。11月にパリ同時多発事件が起こった直後の開催ということで、当初より映画祭への注目度は高かった。今年5月をもって10年の歴史に幕を閉じた映画祭だが、この期間不幸なことに、シリアの内戦は続き(現在は終結)、ISISが猛威を振るい、2021年にはアフガニスタンのタリバン復権があり、2023年には今に続くガザ・イスラエル紛争が起こるなど、「イスラーム文化圏」にとっては激動の時代だった。今まで以上に世間の目を集めはしたが、イスラーム世界、怖いというイメージばかりが浸透していったことも否めない。そんな中イスラーム映画祭では、イスラーム世界での戦争、女性差別の問題、テロに走る若者たちの心情など様々な社会問題を写した映画を上映したほか、各国の魅力的な文化も紹介し、「イスラーム文化圏」の多様性、魅力をも伝える役目を果たした。私たちはそれらを観て、いかに日本での「イスラーム文化圏」のイメージが、単一的で硬直しているかについて思い知らされることになったのである。
このように中東や北アフリカに広がる「イスラーム文化圏」の映画を紹介し続けたイスラーム映画祭は驚くべきことに、 “全額自己負担”の個人企画である。終了したのが惜しいには違いないが、逆によくぞ10年間も1人で続けてきたとも思う。この機に10年の軌跡を振り返る本書が刊行されることは、まことに喜ばしいことである。
本書では、「イスラーム文化圏の映画から見る世界」をテーマに10年間で上映した102作品の映画を世界10の地域、①中東アラブ諸国Ⅰ、②中東アラブ諸国Ⅱ、③マグリブ、④サヘル、⑤ヨーロッパ、⑥西アジア、⑦中央アジア、⑧南アジア、⑨東南アジア・東アジア、⑩北米・南米に分類し、国別・年代順に完全網羅。さらに『イスラーム映画祭アーカイブ』に掲載した錚々たる研究者およびジャーナリストによる専門コラム61本の中から厳選に厳選を重ねた32本が再収録されている。「本書は非欧米圏の映画から複雑な世界を読み解く試みに挑戦しています。」(「イスラーム映画祭」主宰藤本氏) 映画祭がなくとも、自分で情報を探し、映画を観ていくための良き指南書になることだろう。
また2月10日の一般発売に先駆け、2月1日には渋谷ユーロライブにて先行販売上映会を実施することも決定している。作品は、7世紀のアラビア半島に誕生したイスラームの起源を描く3時間27分におよぶ日本一般未公開の歴史超大作『アル・リサーラ / Al-Risâlah』(1976年)。上映後にはアラブ映画研究者の佐野光子氏によるトークセッション特別篇
「イスラームの起源を描き、『ハロウィン』を生み、 テロに散った非業の映画監督ムスタファ・アッカド」が予定されている。
【作品紹介】
『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン』<デジタルリマスター>
(監督:ムスタファ・アッカド/1976年-2018年・リビア=モロッコ=エジプト=サウジアラビア/3時間27分)
預言者ムハンマドを祖とする“イスラームの起源”を描いた207分のこの大作映画は、77年に『ザ・メッセージ 砂漠の旋風』の題で公開されたアメリカ映画の、キャストがまったく異なる“幻のアラブ版”である。アメリカ版がインターナショナル向けだったのに対し、こちらはエジプトを始めとするイスラーム圏向けに作られた作品だ。音楽はどちらも『アラビアのロレンス』のモーリス・ジャールが担当している。
【『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』先行販売上映会実施概要】
日時:2026年2月1日(日)11時上映スタート
会場:渋谷ユーロライブ(ユーロスペース階下)
( http://www.eurospace.co.jp/ )
主催:イスラーム映画祭
公式サイト:http://islamicff.com/
X(旧:Twitter):http://twitter.com/islamicff
Bluesky:https://bsky.app/profile/islamicff.bsky.social
Facebook:http://www.facebook.com/islamicff
協賛:Type Slowly
公式サイト
『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』
(Type Slowly 2月発売 新刊おしらせより)
「イスラーム文化圏の映画から見る世界」 非欧米圏の映画から複雑な世界を読み解く 「イスラーム映画祭」過去10年で上映 した全102作品をフルカラーで紹介。 岡真理さん(アラブ文 学者)、 佐野光子さん(アラブ 映画研究者)はじめ、 専門家のコラム32本収録。イスラーム の文化・歴史を知る最上の1冊
(2,728円+税 B5(182×2 57mm)・並・ 208頁・フルカラー I SBN978-4-911273-08-1 C0095)
[著者プロフィール] 藤本高之(ふじもと たかゆき) 1972年生まれ。「イスラーム映画祭」主宰。20代の頃、沢木耕太郎著『深夜特急』に憧れユーラシ ア大陸を1年3ヵ月かけて旅行し、アジアや中東、バルカン地域のイスラーム圏文化に強い印象を受ける。映画会社の配給サポート・ワークショップで 映画配給のノウハウを学び、2010年にワークショップ参加者有志による北欧映画祭の立ち上げに参加。2015年にイスラーム映画祭を企画、東京・名古 屋・神戸の3都市にて2025年まで都合10回開催する。イスラーム映画祭は“全額自己負担”の個人企画。映画の宣伝、上映会等の企画も行う。