【TIFF】LOST LAND/ロストランド(Nippon Cinema Now)
2025年の東京国際映画祭で観た作品の中でも、特に印象に残ったのが本作だった。途中までドキュメンタリーだと思って観ていたぐらい画面からは緊迫した空気が伝わり、主人公である小さな姉弟の表情が頭から離れない。後で資料を読むと、「主演をつとめたシャフィとソミーラの姉弟をはじめ、総勢200名を超えるロヒンギャたちが出演する長編映画は世界初であり、演技未経験ながら故郷を追われた当事者である」とのこと。たしかにとてもリアルだった。
ニュースなどでもロヒンギャ難民については報道されており、何となく知っていたつもりになっていたが、本作を観てはじめて彼らが置かれている状況を知り、ショックを受けた。なぜ迫害されているのか、なぜ生まれ育った土地を追われなければならないのか、どうして普通に生きられないのか。迫害されるというのはこういうことなのか。姉弟の密航をカメラが追うという語り口が、緊張感を持たせつつ、雄弁でもあり、さまざまな情報を得ることができた。
観た後も彼らのことが気になって、ひたすらスマホでロヒンギャ難民の救済について検索していた。日本でも群馬県館林市では十数年も前から彼らを受け入れて多くのロヒンギャの人が暮らしているようだ。自分には何ができるのだろうか、と考えされられる。このように観た人の心を動かす本作が、国際映画祭で上映されたことはとても大きな意味がある。上映後にも大きな反響があったようで、一般公開も決定したようだ。一人でも多くの人に見てもらえたらと思える作品。
2026年4月公開
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