【カンヌ国際映画祭】ナンニ・モレッティ監督が見たバチカンとは?「HABEMUS PAPAM」
(コンペティション部門)
映画祭3日目、『HABEMUS PAPAM(邦題:ローマ法王の休日)』が上映され、ナンニ・モレッティ監督が主演のミシェル・ピコリらとカンヌ入りした。イタリアのウディ・アレンと言われ、2001年に「息子の部屋」でパルムドール(最高賞)を受賞したモレッティ監督。今作では新ローマ法王が選出される議会(コンクラベ)の様子と、新法王に選ばれた枢機卿の苦悩をユーモアと皮肉たっぷりに描いている。タイトルの「Habemus Papam(アベームス パーパム)」とは、バルコニーからサン・ピエトロ広場の民衆に向けて、新しい法王が決まったことを伝える第一声である。
メルヴィッレ枢機卿は就任のスピーチをするためにバルコニーに向かうが、全世界から注視されるローマ法王という重責とプレッシャーに耐えられず、大声で叫んだ後バルコニーから逃げ出し、姿を消してしまう。
そのメルヴィッレ枢機卿を演じるのは、ヨーロッパ映画界に欠かせない名優ミシェル・ピコリ。記者会見では、「法王の役を演じないかと提案された時、私は即座に承諾しましたが、監督は何日間か試し撮りをして、その後やっと私に『あなたにお願いします』と言ったのです!撮影も過酷で、私の俳優のキャリアが終わるかとも思ったくらいでした」と、監督の妥協なき姿勢が窺える撮影エピソードを披露した。
ちなみにモレッティ監督は、法王の悩み相談を受けるカウンセラー役で出演している。
法王選出の選挙(コンクラベ)のシーンはとても印象的であり象徴的だと思う。多くの枢機卿が「(選ばれるのは)私じゃありませんように!」と真剣に祈るのだが、法王という“貧乏くじ”を引きたくない、「とてつもない重責だし、世界平和より年老いた自分の身が心配」という本音を皮肉まじりに描いている。これまでも政治や体制を批評してきたモレッティらしい場面と言えるのではないだろうか。
制作にあたって、バチカンからはいかなる干渉もなかったという。モレッティ監督は記者会見で、「私は自分の見たバチカンを表現したかったのであって、告発的な作品を作りたかったわけではありません」と語ったが、イタリアの政治に対するバチカンの影響について訊かれると、「特に近年、政党はバチカンの意向に敏感なように思います」と見解を述べ、会見を後にした。
※「イタリア映画祭2012」にて上映決定(公式サイト)
※2012年7月21日、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国順次ロードショー
▼『ローマ法王の休日』作品紹介
監督:ナンニ・モレッティ
出演:ミシェル・ピコリ、ナンニ・モレッティ
制作:1時間44分/イタリア
取材・文 鈴木こより
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