2017年後半の北欧映画に注目! 映画関係者もハマるその魅力とは?

緊急サマーミーティング@トーキョーノーザンライツ フェスティバル

2017年後半は注目の北欧映画が続々公開!ということで、トーキョーノーザンライツフェスティバル(TNLF)が、急きょトークイベントを開催した。第1部は「映画系女子がゆく!」の著者・真魚八重子さんと、映像翻訳者でレインボー・リール東京のプログラマーでもある今井祥子さんが北欧映画談義を繰り広げ、なぜ惹かれるのか、そのツボを探った。第2部は、実際に北欧映画を買いつけた“配給”担当者5人が一同に会し、その作品の魅力や裏話を語るというレアなトークセッションが行われた。


第1部:トークショー「北欧映画って?」
世界中の映画に触れている、真魚八重子さんと今井祥子さんのお二人が、「北欧」 映画に感じる印象、その魅力を語ります。

--北欧映画のなかで好んで見るジャンルは?
真魚八重子さん(以下、真魚): 私はちょっと厭な感じがする映画が好きなんですが、 とくにデンマーク映画に厭な感じの映画が多いので好んで見ていま す。これから公開される『きっと、いい日が待っている』もラース・ミケルセン(マッツ・ミケルセンの兄)がすごい怖くてオススメです。

今井祥子さん(以下、今井): 私はよくよく考えるとスウェーデンの作品が多いです。ルーカス・ムーディソン監督の作品が好きです。『ウィー・アー・ザ・ベスト!』がとくに好きで、あの年頃の女の子って大人からするとワケわからないですけど、それがちゃんと描かれていると思います。

真魚:ルーカス・ムーディソンって作品ごとにタッチが違って面白いですよね。『 エヴァとステファンとすてきな家族』 はオフビートな笑いがあって、『ショー・ミー・ラヴ』は青春映画という感じで。

--スウェーデンはカワイイ映画が多くて、デンマークはドロドロ系が多い?!
真魚:「ロッタちゃん」(シリーズ)とか「やかまし村」( シリーズ)など、90年代はカワイイ映画が渋谷系という感じで紹介されていて、『エヴァとステファンとすてきな家族』も微笑ましい映画として紹介されていましたが、小説の“イヤミス”(後味が悪いミステリー)ブームで、北欧映画も嫌な作品というか暗いのが増えてきたように感じます。
デンマーク映画は、やっぱりドグマ95の影響も残ってるんでしょうね。ラース・フォン・トリアーとかトマス・ヴィンターベアあたりが人間のイヤな部分をみつめて、わざわざ撮る人たちですね。

--北欧のLGBT系映画 ~今後注目の トム・オブ・フィンランド など
今井:北欧のLGBT系映画はレインボー・リール東京やEUフィルムデーズとかで上映されていますが、(DVDなどで)ご紹介できるのは『ショー・ミー・ラヴ』ぐらいですかね。田舎町に住んでいる女の子が同級生の女の子を好きになってしまう話ですが、スウェーデンでは『タイタニック』を超える大ヒットを記録したそうです。98年製作の映画ですが、スウェーデンでは94年にパートナーシップ法が成立して、同性婚が執行されたのが2009年なので、ちょうどその間にできた作品です。主人公の弟がお母さんに「レズビアンって何?」って訊くシーンがあって、それに対してお母さんは子供にもわかるように説明するんですが、自分の娘がレズビアンかもしれないと思った時、とても動揺するんです。当時の特有の状況が見えてくるような感じがして、今あらためて見ても面白いです。

あとトム・オブ・フィンランドはご存知ですか? フィンランドで一番有名なイラストレーターでゲイの男性の絵を描いているんですが、その彼を描いた映画がフィンランドで今年最大の話題作と言われています。第2次世界大戦中に従軍していた頃から絵を描き出して、その後ゲイアートの先駆者となっていく過程を描いています。奇抜な映画なのかと思いきや、とても正統派の伝記映画に仕上がっていて、日本でも大きな映画祭で上映されるのではないかなと思っています。すごく面白いです。

--北欧映画でズバリ好きな作品は?
真魚:好きな映画は『さよなら、人類』とか『ぼくのエリ200歳の少女』なんですけど、これから公開される新作では『きっと、いい日が待っている』と『いつも心はジャイアント』です。『いつも心はジャイアント』 は難病モノだけどオフビートな笑いもあり、 ドキュメンタリー風でもあり、一筋縄ではいかない撮り方ですね。

今井:好きな映画は『馬々と人間たち』と『愛おしき隣人』ですね。あとノルウェーが舞台の『孤島の王』 という作品は字幕を手掛けたのですが、孤島の少年院で少年たちが反乱を起こす話で、実話が元になっています。映像の迫力も凄いですし、少年たちの表情もすごく良いです。少年版『ショーシャンクの空』にみたいな感じだと思います。 ぜひご覧になっていただきたいです。

次のページでは、2017年後半に注目の北欧映画を一挙紹介!

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