フランス映画祭2015来日映画人語録

「ゲスト9名による名言、至言、迷言」

団長花束贈呈

開会式で花束を受け取るエマニュエル・ドゥヴォス


2015年6月26日から6月29日まで開かれたフランス映画祭。今年のQ&Aには、司会者もびっくりするような驚きの展開、感動の場面もあり、それはまるで、会場に映画の神様がいるかのようでした。その一部を、写真と共にお届します。




6月26日(金)
『エール!』
10/31(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー

(配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム)

ルアンヌ・エメラ
ルアンヌ・エメラ
「スクリーンテストを受けたのですけれども、最低の出来でなぜ私が採用されたのか、今もわからないくらいです」

エリック・ラルティゴ監督
「3回スクリーンテストを受けさせたのですが、すべて結果が悪くて、今考えると、なぜその時に彼女を採用したのかわからないのです。ひとつの科学反応がそこに起こったのだと思います。無意識にこの役は彼女だと、私の中で思ったのです。彼女はとてもみずみずしさを持っていて、清廉さ利発さを持っていて、素晴らしい歌手でした」


エリック・ラルティゴ監督ルアンヌ・エメラ
「手話を覚えるために4ヶ月間1日4時間ほど手話のレッスンを受けました。決して簡単だったとは言えませんが、やはり自分が何かやりたいと思ってやる時にはそんなに苦にならないものです。私自身は歌手ですので、演技をすることが一番難しかったです」

エリック・ラルティゴ監督

「私たち健常者が日本語を覚えるには、15年くらいはかかってしまいます。その点、聴覚障がいの方たちは、手話という言語があるために、外国に行っても1日2日でコミュニケーションが取れるということで、本当に素晴らしいことだと思います」


※【フランス映画祭2015】『エール!』【作品紹介とQ&A】障がい者って言うけれど、これは単なる個性だ!


6月27日(土)
『ボヴァリー夫人とパン屋』
7月上旬シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

(配給:コムストック・グループ)

アンヌ・フォンテーヌアンヌ・フォンテーヌ監督

「この映画を皆様気にいっていただけたでしょうか。もし気に入らないということだったら、今このまま帰ります(笑)」

「私が若き日に女優をしていた頃、映画で共演したファブリス・ルキーニにディナーを誘われました。これはナンパかと思ったら、そこで彼はなんと、とうとうと『ボヴァリー夫人』について語り始めたのですね。彼は自分の娘さんにも、エマという名前をつけています。もう、この役を演じるのは、彼しかいなかったのです」

「ファブリス・ルキーニは、飛行機に乗らないので、なかなか東京には来られないのです。彼は、ビザール(奇妙)な人物なので、奇妙なことをするのを許してやってください。(もしどうしても、来てほしいということであれば)船で来るというのは、良いアイデアですね。東京に来る間に、私が映画を撮るというのもいいかもしれません。このプロジェクトにどなたかお金を出して下さい」


『ボヴァリー夫人とパン屋』クロスレビュー


『彼は秘密の女ともだち』
8月 シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館他全国順次公開!

(配給:キノフィルムズ)

アナイス・ドゥムースティエアナイス・ドゥムースティエ

「(来日は初めてなのですが)まったく違う惑星に来たような気がしています」

「この作品は、とても変わったラブストーリーです。話が進むにつれてクレール自身が変わっていきます。ダヴィッド(亡き親友の夫、ロマン・デュリス)の自由さに触れることによって、彼女も段々と解放されていき、彼女の真実というのを見つけ出すわけです。その道程が素晴らしいなと思っております」

「クレールはミステリアスなだけでなく、その視線で観客にストーリーを語っていくわけです。人間は色々な感情を持っていますが、それを言わないで過ごすということが多いわけです。クレールが何を考えているのかなということを、常に想像しながら視線でそれを表現し演じていくことは、女優冥利に尽きました」

「ロマン・デュリスは、女装するということに快感を感じていて、子供のように目をキラキラさせて楽しんでいました。普通は女優の方が化粧に長く時間がかかるのですが、彼は美しくなるために念入りにメイクしていたので、私の方が待つことになりました」


6月28日(日)
『アクトレス~女たちの舞台~(原題:シルス・マリア)』
2015年10月24日、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

(配給:トランスフォーマー)

オリヴィエ・アサイヤスオリヴィエ・アサイヤス監督

「ジュリエット・ビノシュから電話がありました。お互いに知り合ってからものすごく長いのに、なぜ一度も一緒に仕事をしてみないのかと。私も、彼女のフィルモ・グラフィーの中に、私のフィルモ・グラフィーの中に、お互いの名前が欠けていると思っていたのです。私たちは昔から知り合いですし、共通点も持っている。まさにそのことに、映画の材料があるのではないか。すなわち過ぎた長い時間、それが私たちにいかに沁み込んで、いかに変えていくか。そうした映画が作れるのではないかと思いました」

「クリステン・スチュワートは、実にユニークなプレゼンスを持った、独特な存在感のある稀有な女優だと思っていました。『イントゥ・ザ・ワイルド』では、彼女は6分しか出演していないというのに、映画館を出た後も、忘れられないほどの存在感を示していました。だから出演をOKしてくれた時には、とても幸福でした。彼女自身にとっても、ヨーロッパのインディペンデントの作品に出演することには、多大なリスクがあります。彼女が普段手にしている報酬も、居心地の良さもまったくない世界ですから。その代わりに私は、これまでの出演作品では、彼女にもたらさなかったものを与えてあげられる、という気持ちがしていました。キャリアのある時点で、彼女は自身を発見し、理解する。そうしたことが、今後の助けになるのではないかと思いました」

「クリステン・スチュワートとジュリエット・ビノシュ、ふたりの関係がこの作品を支えてくれました。ふたりの関係は非常にバランスが取れていて、お互いを刺激し合って、いい意味での競争心が働きました。私は傍にいてふたりを観察し、その関係が進展していくのをドキュメンタリーのように撮影しただけです」


『ヴィオレット(原題)』
12月岩波ホールほか全国順次公開

(配給:ムヴィオラ)

マルタン、デュボス

「顔を醜くしてもいいかな」
「こういう役は女優にとって、素晴らしいプレゼントです」

マルタン・プロヴォ監督

「『セラフィーヌの庭』を撮り終えた頃、私の自伝的な本を出版してくれた編集者が、セラフィーヌについて書いたヴィオレット・ルデュックの本を渡してくれました。それを読んで感銘を受け、『セラフィーヌの庭』の成功の後、今度はヴィオレット・ルデュックについての映画を作りたいということで、彼にシナリオの相談に行ったのが、このプロジェクトの始まりです。この映画がきっかけとなって、それまでフランスでは忘れ去られていたヴィオレット・ルデュックの傑作「破壊」などの本が再び書店に並ぶようになって、嬉しく思っています」

「父にも母にも認められなかったという事が、ヴィオレットの一生涯の葛藤となっていくわけです。家族の問題を乗り越えるには、そうした葛藤を乗り越えなければいけないのではと思っています。ヴィオレットにとって、父親代わりだったのが、ボーヴォワールだったと思います。ヴィオレットは、最後まで母親に抵抗しますが、彼女より半年前に亡くなります。それもひとつの母親に対する抵抗だったのかもしれません」

マルタン
「セラフィーヌという人物は、自然とシンプルな関係を持った人でした。田舎の風景というのは、彼女にとって唯一の逃げ場であったわけです。ヴィオレットも自然との間に、強力な関係性を持っていたと言えます。パリ近郊の自然に囲まれた場所に暮らしていまして、それについての彼女の文体は、描写が細かくかつシンプルであり、美しいです。私自身も木や川や魚そういった自然との関りなしに暮らしていくことはできません。そういったところが、映画の中にも沁み出てきているのではないかと思います」




団長エマニュエル・ドゥヴォス

「母親役のカトリーヌ・イジェルさんとの共演は、すごく強烈な経験でした。どんどんとシーンがエスカレートしていくなか、私がヴィオレットを演じ続けられたのは、彼女から力をもらえたからです」

「自分が抱えている苦しみや問題を、アートを通じて乗り越えていくという人ほど美しいことはないと思います。私はヴィオレット・ルデュックを文学界のゴッホだと感じました。ぜひ皆様にも読んでもらいたいと思います」

「偉大な監督と仕事をすれば、長回しで苦労するといった問題にぶち当たることはありません。長回しというのは、役者にとってむしろ心地良いものなのです。シーンに完全に入り込んで、勢いをもって演じることができるからです」


『ティンブクトゥ(仮題)』
2015年 公開予定

(配給:RESPECT  配給協力:太秦)

アブデラマン・シサコアブデラマン・シサコ監督

「私は、新聞で一組の男女が石撃ちの刑にあって、死亡したというニュースを知りショックを受けました。これは、野蛮な行為、暴力に反対するための映画です。宗教というものは、そもそも暴力ではなく、愛であり、受け入れること、許すことなのです」

「シナリオは、マリの北部が占領されている間に書きました。その後、この地域が開放されたので、実際に現地に行きました。そこで会った人たちは非常に平和な抵抗をやっていたわけです。例えば、歌を歌ったことを罪に問われた女性が、鞭打ちの刑を受けながらも、なお歌い続けていたりとか。これを物語の中に取り入れたのは、非常に強い女性達が、勇気をもって抵抗していたということを示したかったからです」

「過激派は、単なる暴力を振るう人とは描いていません。なぜかというと、暴力だけを描いてしまいますと、非常に冷たいものになりますし、それを見せ物のようにはしたくなかったのです。その逆に暴力を静かなものとして描くことが重要です。そのほうが、もっと危険なものになるのです」


※【フランス映画祭2015】『ティンブクトゥ(仮題)』作品紹介とアブデラマン・シサコ監督Q&A 「これは、野蛮な行為、暴力に反対するための映画です」


6月29日(月)
『チャップリンからの贈りもの』
2015年7月18日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

(配給:ギャガ)

グザヴィエグザヴィエ・ボーヴォワ監督

「私は、映画を紹介するために色々な国に行くといつも、ここに来ることができて大変幸せですと言っています。でも実を言うとそれは嘘で、心の中では、家にいたかったよねと思っていることも…多いのですけれども、今回は本心で、日本に来ることが出来て嬉しく思っています」

「映画を作る時に私は、映画というのは、まるで魂を持った人間のようだと思っています。映画のほうから、こういう音楽をつけてほしいというような魂の呼びかけをしてくるのです。私は、ミシェル・ルグランさんの音楽が大好きで、彼の音楽を聴いて育ったようなものです。この映画には、ぜひミシェル・ルグランさんに音楽を担当してほしいと思ったんですね」

「音楽を付ける作業は、幸運なことに、ミシェル・ルグランさんのお城のようなお宅ですることになりました。3週間もの間、朝食から買い物、何からから何まで、ルグランさんと一緒に生活をしたわけです。編集者である私の妻が編集機をルグランさんのピアノの隣において、彼が音楽を作ってピアノで演奏し、彼女がそれを映像に乗せるという作業をしていました。一緒に話し合いながら、この映画が、そして音楽が出来上がったのです。オーケストラは55人編成で、ブダペストのほうで録音しています。細かい楽器のパートの楽譜まで、すべてルグランさんが書いてくれました。彼は演奏している時も、とても若々しくエネルギッシュで、また熱心に取り組んで下さいました」

「撮影のカロリーヌ・シャンプティエとは5本ほど組んでいますが、私は彼女なしでは映画が作ることは考えられないです。言葉に出さなくても私の言いたいことを理解してくれます。私たちがいつも考えているのは、あまり美しくなり過ぎないようにするということです。それではまるで、CMのようになってしまうからです」

「事実は、ウーナ夫人は、身代金は払わなくていい。なぜなら、彼の魂はわたしの心の中にあるので、遺体は重要ではないと言ったそうです。その代わりに子供たちには、ボディ・ガードを付けたそうです。チャップリン・ファミリーにとっては、あまり思い出したくない思い出なのですが、でもこの映画を観て、とても喜んでくれました」

「ラスト・シーンは、社会の影で生活している人でも、光のほうに行くことができる。光のほうに行ってもらいたいと思って作っております。私自身も、非常に困難な子供時代を過ごしていたのですが、映画のお陰で光のほうに来ることができたのです。人は立ち上がることができるのです」

ルグランの電話

電話の向こうはミシェル・ルグラン






グザヴィエ・ボーヴォワ監督
「ちょっとミシェル・ルグランさんに電話してみようかな」
ミシェル・ルグラン
「ボンジュール!日本の皆さんに乾杯!」







※『チャップリンからの贈りもの』クロスレビュー


【フランス映画祭2015】
日程:6月26日(金)〜 29日(月)
場所:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)
団長:エマニュエル・ドゥヴォス
*フランス映画祭2015は、プログラムの一部が、大阪、京都、福岡で6月27日(土)から7月10日(金)まで、巡回上映します。
公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2015/
Twitter:@UnifranceTokyo
Facebook::https://www.facebook.com/unifrance.tokyo
主催:ユニフランス・フィルムズ
共催:朝日新聞社
助成: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
後援:フランス文化・コミュニケーション省-CNC
協賛:ルノー/ラコステ
運営:ユニフランス・フィルムズ/東京フィルメックス

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