【三大映画祭週間2012】カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンが認めた傑作を一挙上映!

「ムースの隠遁」より

カンヌ、ベルリン、ベネチアの三大映画祭から選びぬかれた日本未公開の映画を集め、一挙公開した「三大映画祭週間2011」。昨年の第1回は大好評のうちに終了したが、今年も8月4日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて開催が決定している。映画ファンにとって垂涎ものの企画である。

ドラマ、サスペンス、政治劇とラインアップもバラエティに富み、監督のビジョンと個性に彩られたものばかり。現在のイタリアで最も評価の高い監督の一人、パオロ・ソレンティーノの「イル・ディーヴォ‐魔王と呼ばれた男‐」は、2008年カンヌ映画祭で審査委員長を務めたショーン・ペンが惚れ込んだといわれる傑作だし、日本でも知る人ぞ知るアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の「気狂いピエロの決闘」は2010年ベネチア国際映画祭にて審査委員長のタランティーノが大絶賛した作品だ。また、ミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」「白いリボン」でキャスティング・ディレクターとしてかかわったマーク・シュラインツァーの初監督作品「ミヒャエル」は、昨年のカンヌ映画祭で物議を醸し出した問題作である。
他にも注目すべきは、今年特別枠での上映が決定したフランソワ・オゾン監督の新作「ムースの隠遁」。ドラッグの過剰摂取で最愛の恋人を亡くし、彼の子を宿したままパリから遠く離れた場所へと逃げ出し、自分を見つけていく様を描いた本作は、2009年サン・セバスチャン国際映画祭で審査員賞を受賞した。
世界最高峰の映画祭で高い評価を得ながらも、日本未公開となっている世界の隠れた傑作を、この機会にお見逃しなく。


○上映作品一覧 全8作品

<カンヌ映画祭>
■「ミヒャエル」2011年コンペティション選出

原題:MICHAEL
監督:マルクス・シュライバー
主演:ミヒャエル・フイト、ダヴィド・ラウヘンベルガー
制作:オーストリア/96分
35歳の男ミヒャエは10歳の少年を誘拐し、彼の自宅に軟禁する。彼と少年の間に芽生える奇妙でゆがんだ関係を描く共同生活の最後の5ヶ月間。

■「我らの生活」2010年男優賞
原題:Nostra Vita
監督:ダニエレ・ルケッティ
主演:エリオ・ジェルマーノ、ラウル・ボヴァ
制作:イタリア/98分
建設現場で働くクラウディオは、2人の子供と愛する妻に囲まれて、幸せな毎日を送っていた。しかし、ある日突然、妻が亡くなり、彼は二人の子供を守り抜こうと奮闘する。

■「フィッシュ・タンク」2009年審査員賞
原題:Fish Tank
監督:アンドレア・アーノルド
主演:ケイティ・ジャーヴィス、マイケル・ファスベンダー
制作:イギリス・オランダ/123分
学校からは放校処分を受け、友達からも相手にされない15歳の少女、ミア。ある日、母親が連れてきた男が親子二人の人生を愛に満ちたものに変えてみせると約束する。

■「イル・ディーヴォ ー魔王と呼ばれた男ー」2008年審査員賞
原題:IL DIVO
監督:パオロ・ソレンティーノ
主演:トニ・セルヴィッロ、フラヴィオ・ブッチ
制作:イタリア・フランス/110分
魔王と呼ばれたイタリア首相アンドレオッティ。彼は権力に君臨し、多くの犯罪や汚職に手を染めながら、決して裁かれることはない。カンヌを驚愕させた政治ドラマ。
作品レビューはこちら

<ベルリン映画祭>
■「俺の笛を聞け」2010年銀熊賞(審査員グランプリ)/アルフレッド・バウアー賞

原題:If I Want to Whistle, I Whistle
監督:フローリン・サーバン
主演:ジョルジェ・ピステラーヌ、アーデ・コンデスク
制作:ルーマニア、スウェーデン、ドイツ/94分
少年院の刑期をあと5日に控えたシルヴィウ。しかし、出奔していた母親が突然現れ、ここまで大事に育ててきた弟を連れ去ろうとする。心の中に吹き荒れる葛藤が、彼を突き動かす。

<ベネチア映画祭>
■「気狂いピエロの決闘」2010年銀獅子賞(監督賞)/オゼッラ脚本賞

原題:Balada Triste
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演:カルロス・アレセス、アントニオ・デ・ラ・トレ
制作:スペイン・フランス/107分
サーカスで‘泣き虫ピエロ’として働き始めたハビエル。そこにはもう一人、`怒りのピエロ‘セルジオがいる。サーカス団の美女を巡って始まった二人の戦いは常軌を逸した市街戦へと展開してゆく。
本作品は<ラテンビート映画祭2011>にて「THE LAST CIRCUS (英題)」というタイトルで上映されています。作品レビューはこちら

■「時の重なる女」2009年女優賞
原題:The Double Hour
監督:ジュゼッペ・カポトンディ
出演:クセニア・ラパポルト、フィリッポ・ティーミ
制作:イタリア/95分
ソニアとグイドは出会うと、すぐに互いに惹かれあい、愛し合うようになる。ある日、グイドが警備員として働く邸宅に招かれたソニアだが、そこで二人は強盗団に襲われ撃たれてしまう。次第に明らかになる真相の行方は?

<特別上映>
■「ムースの隠遁」2009年サン・セバスチャン映画祭審査員賞
原題:The Refuge
監督:フランソワ・オゾン
出演:イサベル・カレ、ルイ=ロナン・ショワジー、メルヴィル・プポー
制作:フランス/88分
ムースとルイは何不自由なく暮らす幸せなカップルだったが、ドラッグが二人を蝕んでいた。ある日、ルイが死に、ムースは自分が妊娠していることに気づく。彼女は途方に暮れて、パリから遠く離れた町へと逃げだすが…


「三大映画祭週間2012」開催情報
■時期:8月4日(土)ー8月24日(金)限定3週間ロードショー
■劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷 ※テアトル梅田ほか全国順次公開
■料金情報:
5回券¥5,000,  3回券\3,900,  1回券¥1,500 (すべて税込)
当日券:一般¥1,800 / 大・高・専¥1,500 / 中学生以下・シニア\1,000(税込)
■公式HPアドレス:www.sandifestival.jp
■全作品デジタル上映


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