(ライターブログ)CL決勝チェルシー×バイエルン・ミュンヘン観戦記@3Dライブビューイング:その2

その1より

今回のCL決勝で、3D効果を如実に実感できたのは、カメラの前を横切る線審の動きとスローインのボール、CKのキッカー、そして観客席のサポーターの動きなど、比較的動きが緩いものに対してでした。「おおっ!」と思わず声を挙げてしまったくらい立体的。バイエルンのCKは20本(!)もありましたが、何度、3Dなロッベン(の迫力ある頭)が登場したことか・・・(ちなみにチェルシーのCKは1本だけ。しかしその1本がドログバの土壇場の同点弾に繋がったのだから驚異的!)。それと時折、選手のアップを映し出す際に、選手の汗や顔のシワなどがくっきりで、なんか一人で勝手にドキドキしてしまいました。男性の真剣な眼差しや表情は、やっぱりいいわぁ~。これなら吠えてるテリーを3Dで見たかった!!カッコ良すぎて惚れ直しただろうな~(←話、逸れてます)。

・・・で、反対に、カメラがピッチ全体を捉えるときに展開されている、パス回しや敵陣に上がっていくような、少し速さのある動きに対しては、あまり3Dの印象がなかったのが率直な感想です。もしかして、カメラが引いていることで選手やボールが小さく映っているので、このこととも関係しているのかな。もしくは技術的な問題もあり得るので、今後、改善されていくのかもしれません。
とは言え、大きいスクリーンでの試合観戦は、迫力満点でした。自宅のTVやネット中継でちまちま観るより、はるかに臨場感があり、試合を堪能できたからこそ、勝利の感動も倍増だったと思います。試合開始前には「チャンピオンズリーグ・アンセム」が大音量で流れてきたけど、もう自然とテンションがあがりました。

ただ、映画館でのLVには課題もあると感じます。1つは座席指定の問題。今や多くの映画館では座席指定の方式をとり、便利に活用していますが、今回のLVでも同様に座席指定でした。席が確保できるという安心感はある一方、万一、席の周りのお客さんが、バイエルンのサポーターばかりだったらどうしよう・・・という、ほんのわずかですが、不安もありました(自分が人見知りするという短所も大いに絡んでいるのですが)。結果的にこの不安は杞憂に終わりました。周りをちらちら覗っていたところ、この映画館に集まった人たちはチェルシーファンが多かったように感じたし(「ランパードぉぉぉ~っ!!!!」などの絶叫も聞こえてきたし、チェフのロッベンPK阻止のシーンでは歓声も上がっていたし。自分もそうでしたが)、バイエルンファンの人達との一触即発なんていう物騒なことはありませんでした。

だが、それは“たまたま”のことかもしれません。今後、不測の事態に備え(?)、同様の催し物がある場合、座席指定でも、たとえば、スクリーンの左側はチェルシー用、右側はバイエルン用、どちらかを特に熱烈に応援しているのではないけれど、試合は観たいという中立的な人はどちらのブロックでもいい、というような大まかな区分けがあってもいいのかな、と感じます。日本代表戦のような、観客のほぼ全員が日本の応援に回ることが予想されるものは、問題ないと思うのです。ただ、今回のCL決勝のように日本は絡まず、観客が敵味方(という表現はふさわしくないけれど)に別れるような試合の場合、双方のファンが気持ち良く、楽しく観戦するためには、座席の配慮について、映画館側も検討してみてもいいのではないでしょうか?
また、席数に余裕がある場合に限りますが、常識の範囲内で、ある程度、席を自由に行き来できるようにしてもいいのかもしれません。この点は、映画館側の柔軟な対応と観客のモラルが必要だとも思いました。

2つめは劇場の照明の調整。映画の上映なみの暗さでしたが、個人的にはもう少し明るくしても良かったように思います。サッカーを観るにはちょっと暗かったかな。まぁ、「どうせ3Dメガネかけてるじゃん」とかツッコミが入りそうだし、3Dだからこそ暗さが必要なのかもしれませんが、検証の余地はあるように思えます。

でも、この映画館ではお客さんに対する配慮も、もちろん感じられました。試合開始が深夜27時45分ということで、すでに電車やバスはありません。徒歩で来られる人はいいかもしれませんが、やはり深夜の外出に不安を抱く人もいるでしょうし、車を運転できない人もいるかもしれません。
恐らくそういう人のために、この日に限って『ファミリー・ツリー』(本サイトの記事はこちら)や『ダーク・シャドウ』などの映画を、23時台後半や24時台前半開始の上映回を設けていました(もちろんレイトショー料金)。これなら時間を有意義に潰すことができますよね。こういう心遣いは今後も続けていただきたいところです。

今や、映画館は映画を上映するだけにとどまらず、スポーツ、演劇、お笑い、落語、AKB48・・・などのLVを実施することが、多くなりました。映画の興行収入が落ち込んでいる現在、LVは映画館の新たな経営の柱になる可能性も秘めていると思います。であればこそ、LVに対する顧客満足度をあげる努力が、より求められるでしょう。なお、CL決勝LVの料金は2,300円(+3Dメガネ代100円)。私の個人的感覚では、あの臨場感を味わえるなら、お手頃価格でした。それに自宅では近所への騒音配慮もあり、深夜から未明の時間帯に「うおぉぉぉ~~っ!!!!!!」と騒ぐのは、はっきり言って厳しい。心おきなく叫ぶのなら、やはりLVなど自宅以外の場所での観戦に限るとも思いました。その点でも映画館での観戦は、有意義なものでした。

映画館で大騒ぎするなんて、「上映中はお静かに」「私語は慎みましょう」という呪縛にかかっている映画ファンからすれば、あまりお目にかかれない光景。当然、LVではそんな注意もなく、観客各々が声援を送ったり、拍手したりと、自由に楽しんでいたように感じました。というより私の場合、サッカーで、しかもチェルシーの試合で、静かに観るなんて絶対にムリだったし!

それにしても、あの優勝が決まった瞬間、3Dメガネかけて、テリーのユニフォーム着て、体震わせて、暗闇で号泣&咆哮していた自分の姿って、一歩引いて考えてみると、どうなんでしょ。自分で考えても、女子としてかなり問題だったように思える・・・。恋人に見られたら情熱的だと惚れられるか、一気にドン引きされるのか。よほどサッカーが好きな相手でない限り、後者の可能性のほうが高いような気がします・・・。ですので残念ですが、サッカーのLVはデートにはあまりオススメできないかも・・・。あ、でも歓喜の抱擁から恋が生まれる可能性もあるのか。うーん・・・。

・・・とか、どうでもいいことを妄想しましたが、12月にクラブW杯に出場するため、チェルシーが欧州王者として日本にやってきます!!!生きている間にチェルシーの試合をイングランドで観たい、と常々願っていましたが、イングランドではないとはいえ、チェルシーの試合を生で見る幸運が巡ってきて、今からワクワクします。優勝が決まった時、喜びのあまり、もう死んでもいいくらいに思いましたが、やっぱりこの試合を観るまでは絶対に死ぬもんかっ!という決意を胸に、日々の生活(とりわけ映画ライター業)を充実させていきたいと思います。

最後に、
Blue is the colour!!!!

(追記)
このブログ記事を書き上げた22日、かねてより去就が注目されていたドログバのチェルシー退団が正式に発表されました。CL優勝の立役者であり、常にチームを牽引してきたドログバがチェルシーを去るのは本当に残念で仕方ありませんが、今後の彼の活躍を心から祈っています。できればまたチェルシーに戻ってきてほしい・・・(涙)

文:富田優子

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