【YFFF_2012】『Jリーグを100倍楽しく見る方法!!』Jリーグ創設期の歴史をリスペクトできる、貴重な映画!

(ヨコハマ・フットボール映画祭2012上映作品)
とにかく懐かしい!Jリーグ創設期の熱気を覚えている人ならば、そう感じるのは間違いないだろう。当時のスター選手の姿もふんだんにスクリーンに映し出されるが、彼らが若く、何と溌剌としていることか。また、当時の様子を知らない若い人も「解説者の○○さんも、現役時代はこんなすごいプレイしていたんだね」と新たな発見をするかもしれない。

本作は、実写のスーパープレイ集(爆笑もののハプニング集を含む)と主なスター選手の特徴をデフォルメしたアニメで、構成されている。
スーパープレイ集では、選手達の素晴らしいプレイに痺れることひとしきりだが、私が特に好感を持ったのは、DFやGKのファインセーブのシーンも、数多く取り入れていることだ。DFやGKは、点取り屋のFWと比べ、地味な印象は否めない。そのくせ、ミスをして、それが失点に繋がれば、とことん叩かれ、損な役回りでもある。そういうDFやGKのプレイにも注目し、全てのポジションが機能してこそサッカーである、ということを、改めて認識させてくれる。

アニメでは、ラモス瑠偉選手、ジーコ選手やシジマール選手などが大暴れ!実際にはあり得ないことでも、アニメだからこそ笑えてしまうところも楽しい。「アジアの壁」と呼ばれた井原正巳選手や、イングランド出身で「イエローカードを受けたことがない」ジェントルマン、リネカー選手の長所や美点をよく捉えていた。

様々な選手の懐かしい姿を観られて、純粋に楽しい映画だが、個人的には、現在の日本代表ハーフナー・マイク選手の父ディド選手も映っていたのが、ツボだった。このハーフナー親子、日本人として初の親子でのJリーガーとなり、マイク選手はさらにJリーグを飛び出し、オランダで活躍中。親子といえば、本作でも「カツラのCMで儲けた」といじられていた(苦笑)、アルシンド選手の息子イゴーリ選手も、今は鹿島アントラーズに所属している。Jリーグにも2世選手が登場したかと思えば、三浦知良選手や中山雅史選手のように、創設期から今もなお、現役での活躍ぶりを見せていることに思いを馳せると、この20年という月日の経過を感じてしまう。

この間に、Jリーグ加盟チーム数も増えたし(設立当初の10チームから40チームに)、J2との入れ替え制を導入するなど仕組みも変わってきた。そして、残念ながら消滅してしまったチームもある。そう考えると、少し感傷的になってしまうが、今の日本サッカー界があるのは、こうしてJリーグ創設期に基盤を築いた選手やチームがあってこそだろう。ヨコハマ・フットボール映画祭(YFFF)で、本作が上映されるというのは、そういう歴史をリスペクトできる、またとないチャンスだ。ぜひともこの貴重な機会に、多くの人に観ていただきたいと思う。

オススメ度:★★★★☆
文:富田優子


▼作品情報▼
監督:磯村一路
日本/アニメ&ドキュメンタリー/102 分/1994
出演:ラモス瑠偉、中山雅史、井原正巳、森敦彦、ラモン・ディアス、リトバルスキー
舞台:J リーグ
© 1994TBS


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【ヨコハマ・フットボール映画祭2012開催概要】
日時:2012 年 2 月 19 日(日)、25 日(土)、26 日(日)
場所:シネマ ジャック&ベティ
公式サイト
Twitter

(共同開催)
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア「フットボールプログラム presented by Jリーグ」
日時:2012年2月20日(月)~26日(日)(※21日(火)は休館)
場所:ブリリア ショートショート シアター

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