トーキョーノーザンライツフェスティバル2018が2月に開催

~国別・独断と偏見の映画祭鑑賞ガイド~

デンマーク

『チーム・ハリケーン』(17年)

©Annika Berg

POPでカラフルな色が画面からはじけだす。そこには日本のアニメ文化の影響もあるようだ。キティちゃんの縫いぐるみや、ピカチュウの画像までが映し出されている。ビデオ・クリップのようなスピード感ある自由自在な映像からは、若さがはじけだす。しかし、そこで語られる少女たちの物語は、孤独や自傷行為、摂食障害など、かなり深刻なものである。

本作が、デンマークのティーンから圧倒的な支持を得たのは、これが大人の作ったよくある青春映画というのとは、スタイルも、内容も大きく異なっており、等身大の自分たちが確かに存在していると感じられるものだったからなのかもしれない。監督のアニカ・ベウは、この作品が長編初監督である。

『プラハ』(06年)

Photo Alzbeta Jungrova

デンマークの、いや北欧の至宝、マッツ・ミケルセンの未公開作品が、今年もTNLFで上映される。未公開作品も意外に多いマッツ・ミケルセン。ファンにとっては、この映画祭が、毎年の初マッツ詣となっているのではなかろうか。異国の地で、妻に浮気されもがきくるしむマッツ様。『アダムズ・アップル』のような変な役も楽しいけれど、本作は久しぶりに本領発揮の予感。

オーレ・クリスチャン・マセン監督は、日本では、マッツ・ミケルセン主演のナチス抵抗映画『誰がため』(08年)しか公開されていないため、あまり知名度はないが、ドグマ95にも参加しており、その作品『En kærlighedshistorie』(01)は、海外でも好評のうちに受け入れられた。デンマークの実力派監督の1人である。

アイスランド

『グッド・ハート』(09年)

©Icelandic Film Centre

一昨年『好きにならずにいられない』がTNLFで先行上映され、好評を博したダーグル・カウリ監督の2009年の作品である。彼にとっての初めて英語作品で、出演者もポール・ダノ、ブライアン・コックスとアメリカ人の俳優が並んでいる。

ダーグル・カウリ監督の作品といえば、孤独な男の子(『好きにならずにいられない』は中年だが、少年の心を持った人という意味では同じ範疇に入る)が、自分の殻を破ろうとする物語の印象が強いが、この作品も、ホームレスの青年と、孤独な老齢の男が交流する中で、それぞれが変わっていくという点では、彼らしい作品となっている。アウトローを見つめる優しい視点が、彼の作品の魅力なのだ。

TNLFでは2013年ダーグル・カウリ監督の特集上映を組んで以来、彼の作品には力を入れているようだ。今回の『グッド・ハート』の上映により、彼の長編作品のすべてが観られることになったのは嬉しい限りである。

※関連記事
『好きにならずにいられない』レビュー⇒http://eigato.com/?p=25189
『ダーク・ホース』レビュー⇒http://eigato.com/?p=12154

トークショー

©現代映画社

『さらば夏の光』

公開50周年無記念として、特別上映と吉田喜重監督と主演の岡田茉莉子さんによるトークショーが開催される。本作は1968年、スウェーデンやデンマークを含むオール・ヨーロッパロケを敢行した作品。毎日ロケハンとシナリオ執筆をしながら総勢7名のスタッフで撮影に臨んだという。その裏話などを、すぐ間近で聴けるチャンスは、これを逃すと2度とないであろう。
また他にトークショー・ゲストとしてUMMMI、田亀源五郎、今泉力哉、末延弘子、樋口泰人、相澤虎之助の各氏が予定されているので、詳細は公式サイトを確認してみてください。

トーキョーノーザンライツフェスティバル 2018開催概要

映画祭会期:2017年2月10日(土)~2月16日(金)
会場:ユーロスペース
主催:トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト:http://tnlf.jp/ (映画祭以外にもイベントが盛りだくさん。詳しくはこちらから)
Face book:https://www.facebook.com/tnlfes
Twitter:https://twitter.com/tnlfes
予告編:https://youtu.be/vIDxXbvoE2Y
※チケットはユーロスペース公式ウェブサイト、劇場窓口にて上映3日前より販売!
一般1,500円、学生・シニア・ユーロスペース会員1,200円
詳細はhttp://tnlf.jp/ticketにてご覧ください

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