SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017受賞結果発表!!

長編部門グランプリは『愛せない息子』。ノルウェー作品が初の受賞!

クロージング世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、若手映像クリエイターの登竜門として2004年にスタートしたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(主催:埼玉県、川口市ほか)。最終日となる23日(日)、クロージング・セレモニー(表彰式)にて、長編部門・短編部門・アニメーション部門の、コンペティション3部門の各賞が発表された。
長編部門では、ノルウェー作品『愛せない息子』(アーリル・アンドレーセン監督)がグランプリに輝き、ノルウェー作品としては本映画祭では他の賞も含め初の受賞となった。
また監督賞は、ドキュメンタリー映画『中国のゴッホ』(ハイボー・ユウ監督、キキ・ティエンチー・ユウ監督)が受賞。海外のドキュメンタリー作品の受賞も、本映画祭では他賞を含め初めて。さらに審査員特別賞にはハンガリー映画『市民』(ローランド・ヴラニク監督)が輝き、こちらもハンガリー映画の受賞は本映画祭では初となった。

長編コンペティション部門

愛せない息子

©Norsk Filmdistribusjon / Motlys

▼最優秀作品賞
『愛せない息子』
<2017年/ノルウェー/103分>
 アーリル・アンドレーセン監督
▼ 監督賞
『中国のゴッホ』
<2016年/中国、オランダ/81分>
ハイボー・ユウ監督、キキ・ティエンチー・ユウ監督
▼ 審査員特別賞
『市民』
<2016年/ハンガリー/109分>
ローランド・ヴラニク監督
レビュー:移民~差別が生まれ出ずる処~
▼SKIPシティアワード(国内作品対象。今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与する賞)
『三尺魂』
<2017年/日本/93分>
監督:加藤悦生
レビュー:人生は打ち上げ花火のように。



< グランプリ受賞者コメント>
長編部門 最優秀作品賞受賞 『愛せない息子』 アーリル・アンドレーセン監督
*アーリル・アンドレーセン監督は表彰式に欠席のため、ヒルデ・スサン・ヤークトネスさん(脚本)が代理受賞した。
「動物の赤ちゃんには、生まれたその日から立ち上がって走りださなければならない種もいる。しかし人間の子供は、何年もの間、自分では何もできず親に頼らなくては生きていけない。本作の企画の始まりは、もし親が子供を愛せないというタブーが起きた場合どうなるか、ということだった。この映画をご覧になった方の中に、もし親として子育てに悩んでいる方がいたら、その問題に目を背けるのではなく、オープンに話し合うことが大事だと気づいて欲しい」

< 審査委員長コメント>
長編部門 国際審査委員長 黒沢 清氏(映画監督)
「本当にいろいろな国の映画が集められていて、正直どれもかなりレベルが高く、改めて世界中にこんなに優れた映画がたくさんあるんだなということを認識した。今回の受賞作品は、これまでどの映画祭でも紹介されてこなかった、本当に新しい映画だったというのが、素直な喜びだった。受賞された方たちは、さらに世界的な評価を高めていく才能のある作家たちだと思うが、彼らを発見したのは、ここ川口だと大いに誇っていいのではないかと思う」

短編コンペティション部門

冬が燃えたら

©Altan Cinemas

▼最優秀作品賞
『冬が燃えたら』
<2016 年/日本/22 分>
監督:浅沼直也
▼奨励賞
『サイレン』
<2017 年/日本/17 分>
監督:三宅伸行
『追憶ダンス』
<2016 年/日本/25 分>
監督:土屋哲彦



< グランプリ受賞者コメント>
短編部門 最優秀作品賞受賞 『冬が燃えたら』 浅沼 直也 監督
「この作品はキャスト2 人とスタッフ3人だけで、本当に手作りで作った。制作中は、行き届かないところがあったと思うが、最後までしっかり、僕の言っていることを汲み取って、本当に助けていただいた。主演の澤田和宏とは、十年来の友達で、苦労を共にした仲間なので、ありがとうと伝えたい。グランプリを頂いたことを自分の励みにして、これからも映画制作を頑張っていきたい」

< 審査委員長コメント>
短編部門 審査委員長 桝井 省志氏(株式会社アルタミラピクチャーズ代表取締役/映画プロデューサー)
「今までは、短編は今後長編を撮る可能性のある監督の登竜門という考え方をしていたと思う。しかし今年の作品を見ると、ほぼプロフェッショナルの方々のコンペティションといっても差し支えない。ただ作りたいものだけを作るのではなく、商業的な支えの方々をどう説き伏せながら自分の言いたいことを言うか、皆さんがチャレンジしている姿に感動を覚えた。今回受賞した作品は、社会性を踏まえたメッセージを持ちながら、映画が作られているという点で、敬意を表したい」

アニメーションコンペティション部門

▼最優秀作品賞
『I think you’re a littleconfused』
2016 年/日本/8 分
監督:小川育
▼奨励賞
『The Interpreter』
2015 年/イギリス/7 分
監督:尾角典子
『竹田駅メモリーズ』
2016 年/日本/4 分
監督:浜村満果



< グランプリ受賞者コメント>
アニメーション部門 最優秀作品賞受賞 『I think you’re a little confused』小川 育 監督
「トロフィーがすごく重くて(笑)、賞の重みを感じる。この作品は大学院の修了制作として制作したもので、学生として最後の作品だったので、このような賞をいただいて、大変うれしく思う。今は仕事をしているので、なかなか自分の作品を制作するのが難しいが、今回の受賞を糧に自分の作品をもっと作りたいなという思いが強まった」

< 審査委員長コメント>
アニメーション部門審査委員長 小出 正志氏(アニメーション研究者、東京造形大学教授)
「この映画祭は15 年近くの長きにわたる、今や「伝統ある」といってもよい映画祭だが、アニメーション部門は始まって数年の若い部門。映画祭の役割のひとつとして、普段あまり知られることのない種類や技法の作品を見ていただいて、そういった作品に親しむ場を作るということもある。ぜひ皆さまに、この映画祭のアニメーション部門を広く周知いただき、もっとたくさんの作品の応募が行われるようになることを期待したい」

< 主催者コメント>

上田 清司 埼玉県知事 (SKIP シティ国際映画祭実行委員会 会長)
「本映画祭に参加されたクリエイターの皆さんには、この映画祭を通じ、それぞれ新たな刺激や、ヒントを得て、さらに世界の、そして日本の映画界に飛躍されるきっかけを与えることになったのではないかと思っている。ぜひこの映画祭を契機として、世界中に大きく羽ばたいていただきたいと心から願う」

奥ノ木 信夫 川口市長 (SKIP シティ国際映画祭実行委員会 副会長)
「デジタルシネマをテーマとする映画祭としてスタートしたこの映画祭を、埼玉県と川口市が連携し、国内でも屈指の映画祭に育てていきたいと考える。来年は15 回という節目の年になる。これまで以上に作品をはじめ充実させた15回目にしたいと思うので、皆さまには大いに期待していただきたい」

土川 勉 映画祭ディレクター
「今年も各部門とも、それぞれの作品の力が拮抗していて、ある審査員の方がこれは本当に100 分の1 の差ですねと、審査会で感想を述べられたように、結果は僅差だった。今回、選に漏れたさ皆さんには、今後のご検討を期待したい。また今年から、観客のみなさんの投票によって選ぶ観客賞を正式に設けた。集計後、後日発表するので、ご期待ください」

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017 開催概要

ポスター
■会期: 2017年7月15日(土)~7月23日(日)
■会場: SKIPシティ 映像ホール、多目的ホールほか(川口市上青木3-12-63)
彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市上峰3-15-1)
[7/16、7/17のみ]
こうのすシネマ(鴻巣市本町1-2-1エルミこうのすアネックス3F)[7/16、7/17のみ]
■主催: 埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会
■公式サイト:www.skipcity-dcf.jp

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