ゴーン・ガール
【作品解説】
5回目の結婚記念日に姿を消した妻
居間の大量の血痕 妻の日記 結婚記念日の宝探しのメッセージ
エイミーに何が起きたのか―
『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』など数々の作品で全世界を衝撃で震わせた映画界の鬼才デヴィッド・フィンチャー監督が、現代の夫婦の抱える秘密を暴くサイコロジカル・スリラー。夫ニック役に『アルゴ』のベン・アフレック、妻エイミー役に『アウトロー』のロザムンド・パイク。原作は、アメリカで600万冊以上を売り上げ、NYタイムズベストセラーランキング第1位を記録し、日本でも「ミステリーがすごい!2014年版」の海外編ランキング第9位に選ばれた、女性作家ギリアン・フリンの話題のミステリー小説。フリン本人が映画の脚本も執筆した。
【クロスレビュー】
※物語の核心に触れている点があります。
親の介護、小姑、DV、浮気、子供をつくるかつくらないか・・・などエイミーがあげつらう夫への不満は、程度の差こそあれ、実際に多くの妻たちが夫を憎むのに十分な要素となっているだろう。だが致命的なのは夫が妻のことを「何も知らない」ということと、二人揃って自己チューで保身的なことだ。恋愛中は楽しかったのに結婚後は暗転・・・という題材を扱うと感傷的になりがちだが、これを激辛のサスペンスに置き換え、夫にとっては悲劇に、妻にとってはサクセス・ストーリーに転じていく過程で、多くの女性に溜飲を下げさせる(と思う)という作り手側の手腕に舌を巻く。しばしば“Amazing Amy(完璧なエイミー)”というフレーズが出てくるが、“amazing”は「完璧」であると同時に「驚愕させられる」という意味もある。まさにその二つの意味を持った言葉どおりの作品だ。
(富田優子/★★★★★)
失踪した妻の行方を探す夫が怪しいというイントロ。いやこれはダンナがボンヤリなだけで問題は妻だろうというのは早々に分かるのだけど、彼女の内面に孕む異様さにどんどん引きこまれ、ラストは呆然。怖い。人間の支配欲っていうのはこれほどまでなのだろうか? 最初こそ愛はあったのかもしれないが、結局は自らを飾るためのアクセサリーになり、自分にふさわしくないと判断すれば躊躇なく捨てる、そのナルシシズム。幸福な自分、幸福な家庭を演出するために手段を選ばない。更に怖いのが、策士が男だったらとっくに捕まってるだろうに、女だからうまくいっちゃってるところ。もちろんきっかけを作ったダンナにも非があるんだけど、私は同情目線で見てました。何かに触発されて残酷なまでに変貌していく人間を捉える、フィンチャー監督ならではの作品。
(外山香織/★★★★☆)
夫婦の愛憎劇がマスコミを巻き込んだ命がけのサバイバル・ショーと化していく。友人はいなくてもマスコミ受けは抜群の妻と、世間からは総スカンでも側で支えてくれる妹を持つ夫。マスコミが支配するこの国でどちらが生き残れるのかという視点は象徴的で、彼らも自分たちの命運が真実ではなく大衆の支持に委ねられていることを実感していく。その支持率が絶えず推移し、物語の進行とともに二人のパワーバランスが変化する過程に引き込まれる。
TVで伝えられる虚像は薄っぺらく謎だらけだが、少しずつ明らかになる夫婦生活は(程度の差こそあれ)リアルだし各々の言い分も納得できる。夫婦のキャラクター造形も家族構成や出身地などバックグラウンドの対比が効いていて興味深く、主演2人の好演にも魅せられた。とくにエイミーがみせる喜びのステップは最高(笑)。
(鈴木こより/★★★★☆)
▼作品情報▼
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク
原題:Gone Girl
2014年/アメリカ/149分
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
2014年12月12日(金)全国ロードショー
2014年12月18日
ゴーン・ガール/他人が”わたし”を創り出す
ゴーン・ガールGONE GIRL/監督:デヴィッド・フィンチャー/2014年/アメリカ わたしは”あなた”の被害者です。 TOHOシネマズ日劇スクリーン3、M-17で鑑賞。原作未読です。 あらすじ:結婚記念日に妻が失踪した。 5回目の結婚記念日、ニック(ベン・アフレック)が帰宅すると、妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が綺麗さっぱり消えていました。 ※ネタバレしています。結婚生活については他の人が書くと思うしわたしが言うことはあまりないので、他のこと書いてみました。おすすめポイントベン・アフレックに…