【TIFF_2013】ワールド・フォーカス部門 作品一覧
10/17(木)から開催される第26回東京国際映画祭(TIFF)の上映作品が先日発表され、「コンペティション」「アジアの未来」「ワールド・フォーカス」の主要部門についてはプログラミング・ディレクターによる作品紹介が行われた。
昨年までの「ワールド・シネマ」部門にアジア映画を加えてリニューアルした「ワールド・フォーカス」部門は、今年8月末時点で日本公開が決まっていない話題作を上映する。海外の映画祭で注目された作品、有名監督の新作、また現地で大ヒットしている作品が紹介される。
以下、プログラミング・ディレクターのコメントを引用して、全作品を紹介したい。(「コンペティション」「ワールド・フォーカス」の欧米作品は矢田部吉彦氏、「アジアの未来」「ワールド・フォーカス」のアジア作品は石坂健治氏が紹介を担当)
■「ワールド・フォーカス」部門 21作品
『ボーグマン』(オランダ=ベルギー=デンマーク)
監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
出演:ヤン・バイヴート、ハーデウィック・ミニス、イェルーン・ペルセヴァル
カンヌ映画祭コンペティション作品 SFドラマ
矢田部PDコメント「今年のカンヌで最も話題を呼んだ作品のひとつ。とても奇妙な世界の物語で、謎の地底人が一般家庭に侵入していく。監督はオランダの奇才。変な映画を観たい人にはオススメ(笑)」。
『エリ』(メキシコ=フランス=ドイツ=オランダ)
監督:アマ・エスカランテ
出演:アルマンド・エスピティア、アンドレア・ベルガラ、リンダ・ゴンサレス
長編3本目の本作で、カンヌ映画祭コンペティション部門最優秀監督賞受賞。
矢田部PDコメント「ラテンビート映画祭と共同で上映します。初めての長編作品「サングレ」(05)で、以前もTIFFのコンペに参加している監督」。
『Jin』(トルコ=ドイツ)
監督:レハ・エルデム
出演:デニズ・ハスギュレル
『歌う女たち』がコンペ入選のエルデム、もう1本の傑作も上映!
ベルリン映画祭「ジェネレーション」部門オープニング作品
石坂PDコメント「TIFFが惚れ抜いているといっていい監督。山岳ゲリラから離れようとする少女のサバイバルを描く。緊張感に満ちたリアルな作品。これまでのエルデム作品とはちょっと違う異色作」。
『ホドロフスキーのDUNE』(アメリカ)
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セイドゥー、ニコラス・ウィンディング・レフン
カンヌ映画祭監督週間で上映。
矢田部PDコメント「あまりにも面白くて椅子から転げ落ちるかと思った(笑)。ポドロフスキー監督が「DUNE」というSF小説を映画化しようとして、それがどれだけ奇想天外のプロジェクトで、なぜポシャったかを紹介する。ポシャったにもかかわらず、後の映画界にどれだけの影響を与えたかということを知る衝撃のドキュメンタリー。爆笑、驚愕、感動の一本」
『マリー・イズ・ハッピー』(タイ)
監督:ナワポン・タムロンラタナリット
出演:パッチャヤー・プーンピリヤ、チョンニカーン・ネートジュイ
石坂PDコメント「女子高生のおしゃべりをニューメディアで綴った作品。新世紀の映画の概念について考え直させるような作品。アピチャッポン・ ウィーラセタクン監督が“今年のタイ映画のベスト!”とのこと」。
『北(ノルテ)—歴史の終わり』(フィリピン)
監督:ラヴ・ディアス
出演:シド・ルセロ、アンジェリ・バヤニ、アーチー・アレマニア
山形国際ドキュメンタリー映画祭 共催上映
石坂PDコメント「怪物的作家ラヴ・ディアス監督が日本に初お目見え。規格外れの才能で、海外では有名な監督。ドストエフスキーの『罪と罰』のフィリピン版」。
『魂を治す男』(フランス)
監督:フランソワ・デュペイロン
出演:グレゴリー・ガドゥボワ、セリーヌ・サレット、ジャン=ピエール・ダルッサン
サンセバスチャン国際映画祭コンペティション出品作
矢田部PDコメント「デュペイロン監督作品は、TIFFのコンペで「がんばればいいこともある」(08)を上映。俳優のグレゴリー・ガドゥボワは昨年のセザール賞新人賞を獲得して、今後フランスのトップ俳優になると期待されている。魂の傷を治す能力を持ってしまった青年の苦悩を描く」。
『So Young』(中国)
監督:ヴィッキー・チャオ
出演:マーク・チャオ、ハン・ゴン、ヤン・ズーシャン
中国四大女優のひとり、ヴィッキー・チャオ(『少林サッカー』)が監督デビュー!
記録的ヒット更新中の話題作。
石坂PDコメント「ヴィッキー・チャオの初監督作品で、中国でメガヒットしている作品。台湾から人気に火が着いた、素晴らしい青春映画。ヴィッキー・チャオが監督として初来日することを前向きに調整中」。
『シチリアの裏通り』(イタリア=スイス=フランス)
監督:エンマ・ダンテ
出演:エンマ・ダンテ、アルバ・ロルヴァケル、エレナ・コッタ
ヴェネチア映画祭コンペティション主演女優賞受賞作
矢田部PDコメント「ヴェネツィア映画祭で上映され、イタリア映画の中でも個性的な作品だったので選んだ」。
『トム・アット・ザ・ファーム』(カナダ=フランス)
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロワ
ヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞受賞作
矢田部PDコメント「“若き天才”のグザヴィエ・ドラン監督(『わたしはロランス』)の新作。ドラン監督が持つスケール感、展開の上手さが冴え渡り、見応えのある心理スリラーになっている」。
『激戦』(香港)
監督:ダンテ・ラム
出演:ニック・チョン、エディ・ポン、クリスタル・リー
ダンテ・ラム(『密告・者』)が放つ、総合格闘技アクション・ドラマ。
石坂PDコメント「男の世界を描いた、香港映画らしい作品」。
『愛を語るときに、語らないこと』(インドネシア)
監督:モーリー・スルヤ
出演:カリナ・サリム、アユシタ・ヌグラハ、ニコラス・サプトラ
世界の映画祭で絶賛を博す、インドネシアの女性監督モーリー・スルヤの第2作。
石坂PDコメント「昨年TIFFで特集を組んだモーリー・スルヤ監督の新作。いろんなハンディキャップを背負った青年たちのドラマ。湿っぽくない、新感覚のドラマ。新しい世代の一本ということで紹介したい」。
<ウルリヒ・ザイドル監督「パラダイス」3部作>
『パラダイス:愛』『パラダイス:神』『パラダイス:希望』
昨年のカンヌ、ベネツィア、今年のベルリンという三大映画祭のコンペで3部作が連続で上映され、映画祭業界の話題になった。
矢田部PDコメント「オーストリアの奇才監督の3部作を一挙上映できるのも映画祭ならでは。3部作が連続で三大映画祭で上映されるのは、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「トリコロール」3部作以来2度目のとても稀なケース」。
<台湾電影ルネッサンス2013>
『27℃ ― 世界一のパン』監督:リン・チェンシェン
『総舗師 ― メインシェフへの道』監督:チェン・ユーシュン
『失魂』監督:チョン・モンホン
『高雄ダンサー』監督:ホー・ウェンシュン/ファン・ウチョル
『Together(英題)』監督:シュイ・チャオレン
『坊やの人形』(デジタルリストア版)監督:ホウ・シャオシェン/ワン・レン/ツォン・チュアンシアン
石坂PDコメント「実はこの特集は(台湾映画の)“華麗なる復活”という副題がある。今、台湾では、ブランクのあった中堅監督たちが次々と復活やカムバックを果たし、一方で新しい世代の台頭も感じさせる。30年前の名作『坊やの人形』もデジタルリストア版で上映」。
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第26回東京国際映画祭
期間:2013年10月17日(木)〜10月25日(金)9日間
場所:六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
公式サイト:http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/tiff/outline.php