アキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』先行上映舞台挨拶レポート

主演男優ユッシ・ヴァタネンによるオンライン舞台挨拶。

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アキ・カウリスマキ監督最新作にして復帰作となる『枯れ葉』は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラブストーリー。今年のカンヌ国際映画祭の審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに見事輝き、先ごろアカデミー賞国際長篇映画賞部門のフィンランド代表にも選出されました。また本国フィンランドでは、カウリスマキ最大のヒット作『過去のない男』をしのぐオープニング動員数を記録、フィンランドのみならずフランスやドイツでも大ヒットするなど各国で快進撃を続けています。

監督自ら、労働者3部作(『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』)に連なる“第4作目”」と位置付ける本作には、『街のあかり』のヤンネ・フーティアイネンや『希望のかなた』のヌップ・コイヴ、そしてカウリスマキの愛犬が登場するなど、過去のカウリスマキ作品とのつながりも見られます。
カウリスマキ史上最高のラブストーリーである『枯れ葉』は、ヒロインの圧倒的な存在感など随所に新しさを感じさせながら、お馴染みのとぼけたユーモアや抜群の音楽センスにもさらに磨きのかかった、いわばカウリスマキの集大成ともいえる作品です。

11月12日(日)フィンランド映画祭にて主人公・ホラッパを演じたユッシ・ヴァタネンのオンライン舞台挨拶が行われました。
オンラインでスクリーンに登場したユッシ・ヴァタネンは、「ヘルシンキからこんにちは!今朝は庭に出て『枯れ葉』ならぬ、落ち葉を掃いて集めていました」と挨拶し、チャーミングな一面を覗かせました。
また、第36回ヨーロッパ映画賞にて、作品賞、監督賞、脚本賞、女優賞、男優賞と5部門にノミネートされたことを祝われると、「非常に嬉しいです。『枯れ葉』は、様々な国の人々の心に触れるものがあったんだと思います」と喜びを滲ませる様子も。

© Sputnik Photo: Malla Hukkanen

幸運にも先行上映でいち早く『枯れ葉』を観た日本の観客との質疑応答が行われ、アキ・カウリスマキ監督との思い出を尋ねられたユッシは、「アキ・カウリスマキ監督が会いたいと言ってると電話が一本掛かってきた時は、いたずら電話かと思ったんです。でも、実際にお会いすることになり、本作に出演することになりました。お会いした当初は脚本も何もない状態でした」と初めての出逢いを振り返り、「出来上がった脚本を読んでみると、アンサがホラッパに、フィンランドがサッカーのワールドカップで優勝したと話すセリフがありました。カウリスマキ監督自身はあまりサッカーに興味はないと思うのですが、私はサッカーが大好きなので、これは監督が自分の為に書いてくれたんだと思い、嬉しかったです」と打ち明けてくれました。

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劇中に登場する犬の名前やゾンビ映画、エンドロールにジム・ジャームッシュの名前がクレジットされているなど、様々な映画に対してのオマージュが見受けられる本作。ユッシは、「これは監督自身が答えてくれる方がいいと思うけど…」と前置きしながらも、「カウリスマキ監督は、他のいろいろな映画に対して、なんとも言えない尊敬というか畏怖の念というか…それをとても大切に思っています。カウリスマキ監督の描く世界は、おとぎ話のような部分もあります。その中には、沢山の(映画からの)引用やネタが盛り込まれています。とにかく、カウリスマキ監督の映画の知識はとんでもないレベルです!常に映画の薀蓄やトリビアなどのクイズを出されている感じで、自分の映画の知識を試されているような現場でした」と撮影現場での様子を教えてくれました。

また、フィンランドの映画業界の現状を知りたいという質問には、「フィンランドもここ数年、コロナなどの影響で映画館が閉まったり、映画のイベントが行えませんでしたが、ここ1年半ぐらいの間で元に戻ってきたと思います。『枯れ葉』は、アキ・カウリスマキ監督の最大観客動員数を獲得しているんですよ!」と誇らしげに答えてくれました。

最後に日本の観客に向けて、「この映画に関わることで一番で感動したのは、世界というのは難しいことでいっぱいですが、映画を観ることで少しの間、より良い幸せやもう少し心配のない世界を得られるということです。主人公のアンサとホラッパにとって、これは最初の愛であって、多分、人生最後の愛になるんじゃないかなと思います。是非、劇場で多くの方にご覧いただけると嬉しいです」と挨拶をし、舞台挨拶は幕を閉じました。

※2023年12月15日(金)よりユーロスペース他全国ロードショー

※『枯れ葉』の公開記念。デビュー作『罪と罰』から前作『希望のかなた』まで、長篇17作品特集上映。(12月9日(土)、10日(月)には35㎜プリントでの特別上映もあります。)
2023年12月9日(土)~2024年1月12日(金)
会場:ユーロスペース
料金:一般1400円/大学専門学校生1200円/会員・シニア1000円/高校生800円/中学生以下500円
*リピーター割引:半券提示で1000円

当サイト過去記事
アキ・カウリスマキ映画「紳士・淑女録」
『希望のかなた』紳士淑女録

【作品詳細】

題名:『枯れ葉』
監督・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ

第76回カンヌ国際映画祭審査員賞
2023年国際批評家連盟賞年間グランプリ

2023年/フィンランド・ドイツ/81分/1.85:1/ドルビー・デジタル5.1ch/DCP
フィンランド語/原題『KUOLLEET LEHDET』/英語題『FALLEN LEAVES』
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード

公式サイト:kareha-movie.com

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