ミッション:インポッシブル/フォールアウト

映画と。ライターによるクロスレビューです。

【作品紹介】

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全世界累計興収3000億円以上、トム・クルーズが伝説的スパイ:イーサン・ハントを演じる大人気スパイアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作。シリーズ最高傑作と呼び声が高い前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』でトムの絶大な信頼を得たクリストファー・マッカリーが、シリーズ史上初めて同一監督を担当。盤石の豪華キャスト・スタッフが、パリ、ロンドンなど世界中を股に掛け、シリーズ史上最も不可能なミッションに挑む。

【クロスレビュー】

外山香織/ブラント君の復活を望む度:★★★★★

ときに「この映画の公開までは頑張って生きなきゃ」と思える映画がある。人によってはそれがスター・ウォーズだったりエヴァンゲリオンだったりするだろうが私の場合は007とこのM:Iと言っていい。いや、後者に限ってはもうトム・クルーズと言い換えてもいいかもしれない。トムが頑張ってるなら自分も頑張らねば。往年のロックスターのライブに駆けつけるファンの心情もこんな感じだろう、多分。激化するトムのアクションのレベルにヒヤヒヤしながらも。
さて、前作の『ローグ・ネイション』もだが、彼らスパイの敵は敵国やテロリストといった絶対的な悪よりももっと相対的な、(味方であったはずの)組織や人間の中に芽生える疑念や不信感と言った類のものに見える。前作では「シンジケート」はイーサンが勝手に作り上げているものとされ、今作ではイーサンが謎のテロリスト「ジョン・ラーク」であると疑いをかけられる。イルサ(レベッカ・ファーガソン)にしても、所属組織への忠誠心を示すため=疑念を払拭するために、危険な任務に当たらなければならない。さらに疑念は疑念を生み敵は味方になり味方は敵になり、今回もイーサンは様々な輩から追われるが、それがテロ組織なのか現地警察なのかCIAなのか見てる方もわからなくなってくる。ただ、同志のため愛する者のために戦うと言う着地点は今回も同じだ。
しかし惜しむらくは情報分析官であり中間管理職のブラント(ジェレミー・レナー)の不在だ。イーサンに対して違った角度から突っ込める彼がいなくなったせいでやはり物足りなさを感じる。スケジュールが合わなかったようだが、そもそも脚本が完成してなかったそうなので、それは断られても仕方ないと言う気がしている。次作があるならぜひブラント君の復活を望む。

藤澤貞彦/ハント魂度:★★★★☆

『ミッション:インポッシブル』今観なおすと、情報の受渡しはフロッピー・ディスク、電話は公衆電話でという時代。22年の時の長さを改めて感じてしまう。それにも関わらずイーサン・ハント(トム・クルーズ)は変わらない。1作目から出ている同僚の変わり方を見ていると、余計にそれが目立つ。イーサン・ハントは変わらないどころか、ジャンプ・アクションに到っては、1作ごとに高くなり続け、とうとう8000m上空からのジャンプとなってしまう。もう地球上にこれ以上高いところはない。それだけでなく今までのアクションシーンの記録をあらゆるところで塗り替えている。これからどうするのだ!もうひとつ変わらないのは、組織より仲間ということ。組織に歯向かって仲間を犠牲にすることを徹底的に拒む、その弱点を敵(大抵が組織の裏切り者)にいつも利用される。原点は、1作目の仲間の裏切りとその死への後悔にあるのだろうか。過去作を思えば常に仲間を助けることが彼の動機の第1で、それがミッションと繋がっていたものだった。全作品に流れているそんなハント魂が色濃く出たファースト・シーンからラストまで、あらゆる点でシリーズの集大成とも言える作品になっている。


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