イップ・マン 継承
中華圏の映画は大好物ですが、正直に告白すると、カンフー映画の類いはそこまでウキウキ足を運ぶタイプではないのです(お仕事柄チェックはするけれど)。しかし、ブルース・リーの師として知られるイップ・マンの人生を描いてきた『イップ・マン』シリーズは別。川井憲次氏によるテーマ音楽が流れてくるだけで、毎度胸アツです。
決して伝記映画ではないので、フィクション要素は満載なのですが、イップ・マンがそこにいると思わせてくれる血の通った人間ドラマと、超絶アクションのバランスが絶妙。なんならイップ・マンが、というか演じるドニー・イェンがおじいちゃんになるまでシリーズを続行していただきたいくらいです。
シリーズ第3作目『イップ・マン 継承』(公開中)は、前作から10年後の1959年の香港を舞台に、イップ・マンの家族に忍び寄る危機と武術「詠春拳」の正統な後継者としての地位の危機が描かれます。
実際のイップ・マンは1893年生まれなので、バカ正直に計算すると66歳の頃のお話なのですが、そこは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で「宇宙最強の男」の称号を手に入れたドニーが演じているのですから関係ありません。まったく年齢を感じさせないキレッキレのアクションを堪能できます。
イップ・マンやドニーさん、中国武術やカンフー映画については熱狂的なファンが多くいらっしゃるので、ここで改めて語ろうとは思いません。ただ、本作でひとつ、「香港映画? あんまり興味ないわー」という女子に向かって声を大にしてお伝えしたいのが、イップ・マンに勝負を挑む同じ詠春拳の使い手・チョンを演じるマックス・チャンの魅力です。
この方、武術の腕前だけでなく俳優としての華も兼ね備えており、その二次元から飛び出してきたかのような仕上がりに、思わず「漫画かよ!」とツッコミをいれてしまいそうになること請け合いの要注目の俳優です。
中華映画好きの中にも、「マックス・チャン…誰?」という方がいらっしゃるかもしれません。「『グランド・マスター』で、チャン・ツィイーと駅のホームで戦っていた人」と聞けば思い出していただけるでしょうか。「この列車、一体何両あるの?」というインパクトが強すぎて敵役の顔は思い出せないという方! 今年のお正月に公開された『ドラゴン×マッハ!』はご覧になっているでしょうか? 熱帯に位置するタイでなぜかスリーピースのスーツに身を包んだムダにカッコいい刑務所所長を演じていた彼です。スーツ姿でシャープなアクションをみせる姿に、あの時も「漫画かよ!」とツッコミを入れたことを、今、思い出しました。2018年公開の『パシフィック・リム:アップライジング(原題)』にも出演しているそうなので、今後の活躍が益々楽しみです。
このG.W.、『イップ・マン』前2作をまとめて予習して(しなくてもOK!)、ぜひ劇場へ!
4月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開