『太陽のめざめ』エマニュエル・ベルコ監督

監督作も主演作もカンヌで高評価「オープニングに選ばれたことは大きな意味がある」

EmmanuelleBERCOTカンヌ国際映画祭(2015年)で女性監督史上2度目のオープニング作品を飾り、さらに女優賞(『モン・ロワ(原題)』)も獲得したエマニュエル・ベルコ監督をインタビュー。監督作も主演作もその手腕と実力を認められ、いま映画界で最もノッている女性の一人と言えるだろう。
最新作となる今作では主演に大女優のカトリーヌ・ドヌーヴを迎え、非行少年役に新人のロッド・パラドを大胆起用。新人俳優の才能をみごとに引き出し、パラドはフランスの二大映画賞リュミエール賞、セザール賞で新人賞を受賞した。
親の愛を知らず人生に迷う少年と引退間近の判事が出会い、新たな道をみつけるまでを描いたこの物語は、監督がずっと温めていた企画だという。今回はその動機やキャスティングなど映画化への想いから、監督自身のキャリアについてお話を伺った。

―― 本作はカンヌのオープニング、そしてフランス映画祭のオープニングを飾りましたが、まずはそのことについて率直なお気持ちを聞かせてください

ベルコ監督(以下、監督):「自分にとってはありがたいことです。話題になりヒットに繋がれば、多くの人が自分の伝えたかったことを観ることになります。今まで光の当たらなかった環境や、その仕事に関わっている人たちに対して敬意を表するという意味においても、オープニングに選ばれたことは大きな意味があると思います」

―― 監督と女優のどちらに重きをおいて仕事をされていますか? 両立することでの相乗効果について、どのように考えておられますか

監督:「監督業の方が自分にとって重要です。女優としての仕事は自分にとってはちょっとした息抜きという感じもあります。仕事の大部分は監督として映画を作ることに費やされているといえます。まったく違う仕事ではあるけれど、自分にとって理想的なやり方かなと思っています」

―― 本作を見ると判事役はカトリーヌ・ドヌーヴしかいない、と思えるのですが、最初から彼女を想定して脚本を書いたのでしょうか? それとも、他にも候補の方がいたのでしょうか?

監督:「この映画の企画は頭の中にずっとありましたが、判事役はカトリーヌ・ドヌーヴだと思っていました。本作を撮る前に彼女と仕事をしたのですが、それもあって、もう一度彼女と仕事をしたいと思いました。引退間近の女性であることをイメージしていました」

―― カトリーヌ・ドヌーヴが演じる判事は母性だけでなく父性も持ち合わせていますが、判事を女性に設定した理由を教えてください

監督:「自分の叔父が、ブノワ・マジメルが演じている教育係の仕事をしていました。この映画を作るにあたり、叔父に色んな話をしてもらいましたが、その中で10年に亘って関係があった、ある非行少年と判事と教育係の話をしてくれました。その話を聞いたとき、このトリオが絶対に必要だと思い、判事を女性にして教育係を男性にしようと決めました。実際にフランスでは未成年の裁判の判事は75%が女性です」

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