『ケイト・レディが完璧な理由』修羅場の女王サラ・ジェシカ・パーカー主演で話題の人気小説を映画化!
『セックス・アンド・ザ・シティ』のサラ・ジェシカ・パーカーが主演で、脚本が『プラダを着た悪魔』のアライン・ブロッシュ・マッケンナと聞いたら、期待せずにはいられないという方も多いだろう。ただ本作には、『SATC』に登場するような破天荒キャラも、『プラダを着た悪魔』のような鬼上司も出てこない。登場人物のキャラクターは比較的リアルであり、サラ演じるケイトも例外ではない。彼女はただ仕事での成功も、良きママであることも諦めたくないだけ。今の時代、そうありたいと願う女性は少なくないだろう。とはいえ、その両立はとても困難で、ケイトも職場や家庭で悪戦苦闘を強いられている。
睡眠時間をいくら削っても時間が足りないのは、働く母親にとって共通の悩みだろう。仕事や家事に加え、子供の学校行事や親族のイベントなど休む暇はない。ケイトも毎晩のように“やることリスト”を作っているが、その時間さえ惜しいようにみえる。仕事も家庭も諦められない彼女ゆえ、子供や上司の要求に全力で応えようとするのだが、そのためには裏技や邪道も辞さないと割り切っている。観る人によっては異論・反論もあるだろう。しかし物語が進むにつれ、彼女が決して怠ることのない“ある大切なこと”に気づかされる。
また両立を実現させるには、本音と建前の使い分けは必須のスキルだ。例えば、子供のせいで会社に遅刻をしても、とっさに他の言い訳を考えなくてはいけない。さすがにケイトの切り返しは冴えていて「なるほど〜」と唸らされるし、痛快でもある。脚本との相性の良さもあるが、こういうピンチのシーンこそ、サラ・ジェシカ・パーカーの魅力が最大限に光るというもの。困ったようなトボけた表情といい、絶妙な間合いの取り方といい、『SATC』シリーズで数多くのド修羅場を演じてきた彼女ならではの“芸”を魅せてくれる。
原作は「ケイト・レディは負け犬じゃない」という英国のベストセラー小説。本作でいう負け犬は、「〜するべきだ」という言葉で自分をごまかし、「そうではない」他人を非難する欲求不満な人のことだろう。ケイトのすべてに共感できたわけではないけど、彼女の“誰のせいにもしない生き方“は潔くて好感がもてた。結局はケイトのように「人生やったもん勝ち」なのかも。
6月2日(土)より、シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!
オススメ度:★★★☆☆
Text by 鈴木こより
▼『ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)』
原題:I Don’t Know How She Does It
出演:サラ・ジェシカ・パーカー『セックス・アンド・ザ・シティ』、ピアース・ブロスナン『ゴーストライター』、グレッグ・キニア『グリーン・ゾーン』、クリスティナ・ヘンドリックス『ドライヴ』
監督:ダグラス・マクグラス『Emma エマ』
脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ『プラダを着た悪魔』
原作:アリソン ピアソン「ケイト・レディは負け犬じゃない」
製作:2011/アメリカ/90分
配給:ファインフィルムズ
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/kate-reddy
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