【TIFF】指輪をはめたい(特別招待作)
(第24回東京国際映画祭特別招待作)
製薬会社に勤めるサラリーマン片山(山田孝之)、29歳独身。転んで頭を打ち記憶喪失になってしまった彼は、鞄に婚約指輪が入っているのを発見。しかし誰に渡そうとしていたのか全く思い出せない。どうも自分は3人の女性と付き合っているようなのだが…?
恋人のことだけを忘れてしまった男は、とりあえず携帯電話の履歴にあった3人の女性とデートしてみる。同じ会社の年上キャリアウーマン(小西真奈美)、巨乳の風俗嬢(真木よう子)、人形劇が趣味の女(池脇千鶴)…。全くタイプも性格も違う。それぞれ可愛くて魅力があるが、自分が結婚しようとしていたのが誰なのかわからない。じゃあ、自分が結婚相手に求めるのは何なのだろうか。外見? 相性? 頼りがい? 気安さ? 家庭的? ほっとけないところ? …これ、たぶん結婚を考える男性みんなが思うところなんだろう。しっくりこない片山は次の策として「誰とも会わない」ことにする。本当に恋しい人ならば、どうしても会いたくなるものではないかと思ったからだ。しかし、これもうまくいかない…。自分の中には何か空虚なものがある。片山がそこに気づいた時点から、このドラマは急展開していく。実は恋人のことを思い出せない重大な理由が、ちゃんとあったのである。
情けなくて優柔不断、でもそこが母性本能をくすぐられてしまうモテ男を演じる山田孝之が最高に魅力的。これまでの出演作を見てもヒトクセある役を演じることが多いが、今回も「ホントにこういう人?」と思えるほど役にピタリとはまっている。監督の岩田ユキはイラストレーター出身。カラフルでポップな映像は女性が好みそうだが、原作者の伊藤たかみは男性だ。30歳を目前に控え結婚を意識する男性の心理に共感できる男性も多いのではないだろうか。
人と言うのはつくづく身勝手なものだ。相手に何かを求めようとしている時点で、無意識のうちにどこか傲慢になっている。でも、ホントは人に求める前にきっちり自分で向き合わなきゃならない。ファンタジックでコミカルな展開に笑いつつも、最後には大事なことに気づかせてくれる、そんな映画だ。2011年11月19日全国公開。
オススメ度:★★★★☆
Text by 外山 香織
▼作品情報▼
製作国:日本 製作年:2011年
監督/脚本:岩田ユキ
原作:伊藤たかみ
出演:山田孝之、小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴、二階堂ふみ
公式サイト:http://www.yubiwa-movie.com/
©2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
▼第24回東京国際映画祭▼
日時:平成23年10月22日(土)~30日(日)
公式サイト:http://2011.tiff-jp.net/ja/
2011年10月31日
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