ゆうばりを沸かせた話題作「エイリアン・ビキニの侵略」オ・ヨンドウ監督インタビュー

2011年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭<オフシアター・コンペティション部門>でグランプリを受賞した『エイリアン・ビキニの侵略』がいよいよ公開。今年は『SUPER8/スーパーエイト』『世界侵略:ロサンゼルス決戦』 『カウボーイ&エイリアン』など、エイリアンムービーが続々公開されたが、遂にお隣りの韓国からもエイリアンが上陸! しかも今度のエイリアンは美女。セクシーエイリアンがピュアな青年をあの手この手で誘惑するのだが・・・。エイリアンにはどうしても手に入れなければならないモノがあった。青年はその大切なモノを守り、地球を救い出すことができるのか?
今の日本映画界に欠かせない人物を次々と輩出しているゆうばりで、外国人として初の快挙を果たした韓国人監督、オ・ヨンドウ。インタビューでは本作品のこと、監督自身のことについてお話を伺った。


——ゆうばり映画祭グランプリ受賞おめでとうございます!(受賞は2011年2月)受賞を知った時の気持ちをお聞かせください

ありがとうございます!賞をいただくというのはとても嬉しいことで、本当に嬉しかったです。ゆうばりで賞をいただくと次回作への支援を受けられると聞いていたので、また映画を撮れる!ということで2倍嬉しかったです。

——かなりユニークな内容でしたが、本作品を撮ろうと思った動機は何ですか?

兵役中に軍隊で知り合った、本作主演のホン・ヨングンという男の身体を使った映画を撮りたかったんです。彼は演技の学校を卒業してまだ3年ぐらいでキャリアは長くないのですが、一生懸命本当に心を込めて演じるところが最大の魅力だと思います。また彼はもともとトレーニング好きで、日頃から身体を鍛えていたんです。軍隊に行けば、皆あのような身体になるわけではないんですよ(笑) 本作品は彼にとって初の長編主演作となります。

——劇中では健康に関する知識が多々披露されていますが、ご自身も日頃から気にかけているのですか?

いえ、私自身はお酒もタバコも大好きですし、そんなことはありません(笑)。主人公の健康的な日常生活を表現するために色々盛り込んでいったわけで、あくまでもキャラクターへのアプローチです。彼の身体はよくメンテナンスされていて、キレイに保たれたものではないかと役へのイメージからそのようにしました。主人公はお酒もタバコもやらないですよね。そして頑に、純潔を守ろうと貫いています(笑)。
ほとんどがきちんと調べて事実に基づいた知識ですが、性欲を増進させるカーマスートラのポーズをとっている時の主人公のセリフだけはアドリブです。ヨングンの提案を採用しました。

——エイリアンを人間の姿にすることによって、制作コストはかなり抑えられたのでは?

500万ウォンで作りました(日本円でおよそ35万円)。私の全財産です!韓国では公開されてお客さんが入れば、それがすぐ監督の収入につながるという大変恵まれた状況にあります。またKOFICという映画振興委員会がマーケティング費用や宣伝費全般を支援してくれます。

——本作品では時間について監督のメッセージも込められているように感じましたが、世の中の変化の早さについて思うところがあるのでしょうか?

世の中の変化のスピードが早くなっているというよりは、「時間というものは主観的なものである」という意味で、他人の時間に対する尊重、つまり、あなたと私では流れている時間が違うんだ、ということを描きたいという想いはありました。

——デビュー作からSF作品を撮られてますが、好きな監督や影響を受けた作品などありますか?

日本の監督でいえば鈴木清順監督、三池崇史監督です。他には、タランティーノ、韓国の監督ではパク・チャヌクが好きです。映画を作る面白さは、イメージを具体化していく作業にあると私は思っています。今後もSFに限らずジャンル映画という枠の中で映画を撮っていくだろうと思いますが、いつか社会派の映画を撮りたいと思うことがあるかもしれませんね。自分がその時に好きなものを撮っていきたいと思います。
多くの映画を見てそれらから影響を受けたと思いますが、ピーター・ジャクソン監督や、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)のジョージ・A・ロメロ監督がいなければ、今のゾンビ映画はなかったと思います。

——最後に日本のファンへのメッセージをお願いします

小さな映画ではありますが、皆様に観に来ていただければ有り難いと思っています。難しい映画ではないので、とにかく劇場に足を運んでいただいて、楽しんでいただければと願っています。

取材後記
長身でサングラスが良く似合うイケメン監督だ。しかも葉巻みたいなもの吸ってるし!インタビューの後、思い切って聞いてみた。それは電子タバコといって、監督曰く「ニコチンは取り入れられるんですけど、臭いがしないのでイイですよ。『ツーリスト』でジョニー・デップも吸ってます」とのことだった。たしかに煙も臭いも全くなく、愛煙家にオススメしたい。写真撮影ではステキすぎる笑顔で場を和ませてくれたし、気遣いもサービス精神も二重丸で好感度大の監督でした。

10/22(土)シアターN渋谷ほか、全国順次公開!

▼舞台挨拶のお知らせ▼
公開初日にシアターN渋谷にて、舞台挨拶が行われる予定です。
10/22(土)14:00の回上映後/15:45の回上映前
登壇予定者:オ・ヨンドウ監督、ホン・ヨングン、ハ・ウンジョン
詳しくはこちら↓をご確認ください。
公式HP:http://www.alien-bikini.com
公式ツイッター:@alienbikini

■オ・ヨンドウ監督プロフィール
1975年1月26日、韓国の小さな南の島で生まれる。1995年から映画業界で働きはじめ、2007年『クリスマスを切る』で映画監督としての活動を開始。2008年『隣のゾンビ』で、プチョン国際ファンタスティック映画祭観客賞・審査員賞を受賞。韓国インディーズの雄として知られる。本作で、2011年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、オフシアター部門で347作品の応募、9作品のノミネートからグランプリを受賞。現在、映画祭の支援により次回作を撮影中。

監督・脚本:オ・ヨンドウ
キャスト:ホン・ヨングン、ハ・ウンジョン、チェ・ヨンジョ、チョ・フンヨン、ソ・ビョンチョル、キム・ヒョンテ、キム・ソンミン
製作:チャン・ユンジョン
撮影監督:グ・チュンモ
音楽:キム・ジョンヨン
英題:INVASION OF ALIEN BIKINI
2011年/韓国/カラー/75分/ビスタ/ステレオ/デジタル上映
配給:キングレコード
配給協力・宣伝:太秦
コピーライト:(C)kinomangosteen

インタビュー取材:鈴木こより

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