「ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー」 ビーバー・フィーバーという社会現象

JB
『マイケルジャクソン THIS IS IT』の興行収入を上回り、音楽ドキュメンタリー映画史上、最高の全米興行成績を打ち出した本作。カナダ出身の若きカリスマが伝説を塗り替える。

前髪サラサラということ以外、ジャスティン・ビーバー(17歳・以下JB)についてはほぼ無知であったが、マイケル・ジャクソンが持つ記録を次々と塗り替えているというし、“YouTubeの申し子”と言われる背景には少なからず興味があったので観ることに。
結論から言うと、この映画にはすっかり魅了されてしまい、テーマパークに行った時のような高揚感が残った。

2010年のコンサートツアーの密着映像に加え、エンターテイナーの片鱗をうかがわせる幼少時代の映像や、彼を見出したプロデューサーのインタビューなどが収録されている。なかでも、ラストのNYマディソン・スクエア・ガーデンの映像はゴージャスで圧巻だ。非凡で多才、そして時折見せるごく普通の少年の素顔。華奢なルックスでありながら情熱的なパフォーマンス。全米中の若い女性が彼のトリコになっているというのも頷ける。

人気アーティストとのコラボも見どころの一つ。個人的に一番面白かったのは、ウィル・スミスの息子で、自身も俳優や歌手として活躍中のジェイデン・スミスの登場シーンだ。黄金のマイクを持参したジェイデンには「どっちが主役だよ!」とツッコまずにはいられない。ジェイデンが醸す存在感や言動は規格外で、さすがのJBも動揺が隠せないご様子。ステージ上で火花を散らす若手スターの競演シーンは、贅沢で緊張感ただよう印象的な一幕といえよう。

小さな頃からずっと、音楽で周囲を楽しませてきたカナダ出身の少年の評判は、YouTubeへの投稿がきっかけで瞬く間に全米、そして世界中に拡がった。ネット世代の情報のスピードと伝播力というのは本当に凄まじい。映画の中でも、趣向を凝らした編集により、その様子が体感できる仕掛けになっている。この機会にぜひ時代の証人になっていただきたい。JBのファンだけでなく、多くの人が楽しめるエンターテインメントムービーだ。

5月7日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズとTOHOシネマズ梅田ほかにて3D限定公開。ワールドツアーの最終地として、5月17日に大阪、5月19日に東京にてジャパンツアーも決定している。

おススメ度:★★★★☆
Text by 鈴木こより

▼ジャスティン・ビーバー プロフィール
1994年3月1日カナダのオンタリオ州ストラットフォード生まれ。独学でドラム、ギター、ピアノ、トランペットを習得したR&Bシンガー・ソングライター。12歳のとき、YouTube投稿がきっかけでデビュー。09年11月デビューアルバム「My World」が100万枚セールス突破、2010年3月セカンドアルバム「My World 2.0」は全米チャート1位獲得(スティービー・ワンダーに次ぐ最年少記録)。第53回グラミー賞で2部門にノミネートされた。日本でも2010年にアーティストゴールドディスク(10万枚)を達成した洋楽アーティストとして知られる。更新回数が多いことから、通称“ツイッター王子”としても有名で、現在のフォロワー数は770万人を超える。

▼作品データ
監督:ジョン・M・チュウ
出演:ジャスティン・ビーバー、ボーイズIIメン、マイリー・サイラス、ジェイデン・スミス、アッシャー他
制作:2011/アメリカ/105分/3D
公式サイト:JUSTINBIEBER-MOVIE.JP

JBから東日本大震災で被災された方へのメッセージと、ハイチで被災された方の為のチャリティー・ソング「Young Artists For Haiti – Wavin’ Flag」の動画をご紹介。カナダの若手アーティストらが参加していて、JBはトリを担当している。
「日本は地球上で大好きな場所のひとつ。素敵な人々による素晴らしい文化がある。彼らのために祈っています。僕たちみんなで助けてあげなきゃ」。

Young Artists For Haiti – Wavin’ Flag

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