『アレクサンドリア』レイチェル・ワイズ公式インタビュー

ヒュパティアは歴史上もっとも素晴らしい恋をした人物なのよ

『海を飛ぶ夢』(05)から6年、アレハンドロ・アメナーバル監督の待望の新作『アレクサンドリア』が3月5日(土)より公開される。4世紀末、ローマ帝国支配下のエジプト・アレクサンドリアに実在した女性天文学者ヒュパティアの誇り高い人生の物語だ。

ユダヤ教徒とキリスト教徒の争いが激化し、混乱を極めるアレクサンドリア。ヒュパティアはそんな宗教や政治の争いからは一定の距離を置き、学問に没頭する。だが、動乱の時代の波は彼女を飲み込もうとしていた・・・。
本作で描かれている非情な争いは、まさに現在の世界の縮図と言っても過言ではない。「信じる神は違っても、私達は兄弟です」と人類愛を説くヒュパティアの言葉は時代を超越し、混沌とした現代を生きる我々の心にまで、重みをもって響く。

学問に身も心も捧げたヒュパティアを演じたのは、アカデミー賞女優レイチェル・ワイズ。実際のヒュパティアは、たぐいまれな美貌と聡明さを兼ね備えた女性と伝えられており、まさにレイチェルにぴったりの役どころ。圧倒的な輝きをスクリーンに放っていて、思わず見とれてしまう(今年3月で41歳になるとは思えない美貌!)。ヒュパティアの周囲の男性諸氏が高嶺の花と分かっていても、それでもなお彼女を慕い続けるのも理解できるような気がする。そんなレイチェルの公式インタビューを以下にお届けする。

――あなたが演じた役について、教えてください。

レイチェル・ワイズ(以下RW):『アレクサンドリア』では、私は実在の人物、ヒュパティアを演じるの。分かっている事実は、彼女が4世紀のアレクサンドリアに生き、哲学者、天文学者、数学者だったということ。アレクサンドリアの図書館の館長テオンの娘で、教師であり、処女だったのよ。

――ヒュパティアとは、どのような人物だったのですか?

RW:彼女は、アレクサンドリアが地球上すべての知的学習の中心だった時代の終わりに生きた女性なの。人々が世界中から集まり、演劇や哲学、数学や天文学について議論したわ。驚くべき学問の在り方だし、人々の学びへの情熱も強い時代だったのね。
そして、学問に夢中になり、取りつかれたように情熱を注いでいる。彼女は歴史上もっとも素晴らしい恋をした人物だと私は思う。宇宙との恋よ。

――撮影現場の様子を教えてください。

RW:実際にマルタにアレクサンドリアの都市のセットを作ったの。アレクサンドリアが出来上がっていき、都市として完成するのを見るのは普通ではあり得ない感覚だった。セットはとても威厳があり、想像をかきたてるもので、もちろん当時のその場所に実際にいるように感じたわ。(『アレクサンドリア』はヨーロッパ映画史上最大級の製作費を投じて制作された。)

――監督について、教えてください。

RW:アレハンドロ・アメナーバルはとても様々なタイプの映画を作っているわ。それに技術的にとてもしっかりしていると思う。他の監督たちが彼をナンバーワンに挙げるのよ。彼の映画はどういうわけか…技術的に完ぺきなの。それが、彼の持つ偉大な情熱、人間性、それに、何と言うか…人間への深い愛と組み合わせられる。そんな要素がミックスされたカクテルのような映画なのよ。とてもステキだと思うわ!

――観客へのメッセージをお願いします。

RW:この映画ではアレクサンドリアという街を舞台に、人間の最も美しい面と最も醜い面が描かれる。その2つの面は、1つの時代のこの1つの都市に存在し、しかも強いパワーを放っているの。
そして時の霧の中に埋もれていた彼女の物語は、この映画で初めて語られることになる。わくわくするわ。恋愛の要素は少ないからラブストーリーとは言えないかもしれないけど…。彼女の波乱の生涯を、是非みなさんに観てほしいわ。

〈プロフィール〉
レイチェル・ワイズ(Rachel Weisz):
1970年3月7日、英国ロンドン生まれ。14歳からモデルをはじめ、ケンブリッジ大学で英文学を学んでいる際に演劇に興味を持ち、自ら劇団「Taking Tongues」を結成。舞台を中心に活動してきたが、『デス・マシーン』(94)で映画デビュー。『ナイロビの蜂』(06)でアカデミー賞助演女優賞受賞。他の主な出演作:『魅せられて』(96)、『スカートの翼広げて』(98)、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(99)、『スターリングラード』(00)、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(01)、『コンスタンティン』(05)、『ファウンテン 永遠につづく愛』(07)、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(08)、『ラブリーボーン』(09)など。

▼作品情報▼
『アレクサンドリア』
製作年:2009年
製作国:スペイン
監督・脚本:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:マラオ・ヒル
出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック、マイケル・ロンズデール、サミ・サミール、ルパート・エヴァンス、アシュラフ・バルフム
原題:AGORA
配給:ギャガ
公式サイト:http://alexandria.gaga.ne.jp/
(c)2009 MOD Producciones,S.L.ALL Rights Reserved.
3月5日(土) 丸の内ピカデリーほか全国順次ロードショー

トラックバック URL(管理者の承認後に表示します)