【TIFF】チャンケ:よそ者(TOKYOプレミア2020)

映画と。ライターによるクロスレビューです。

作品紹介

©2020 JOINT PICTURES CO., LTD

韓国に住む台湾系華人クァンヤンは優秀な高校生だが、自らのアイデンティティに悩んでいる。いじめと初恋、父親との確執を織り込んだ辛口の青春映画。新人監督チャン・チーウェイは、タレンツ・トーキョー2013出身。

クロスレビュー

鈴木こより/キムチもジャージャー麺も、辛いよね:★★★☆☆

主人公の彼は韓国籍を持たないということで、学校でいじめにあい、学校以外の場所でも差別を受けている。これが韓国の現実なのかと思うとゲンナリするが、どこの国でもハーフとして生まれた人はアイデンティティに悩み、大人になるのだろう。本作を観てあらためて思うのが、差別や偏見というのは、大人がやってるうちは社会から無くならないということ。彼ら若者は、そんな社会に閉塞感を感じ、自国(韓国)を「ヘル(地獄)」と呼んでいる。やがて大人になる主人公が、韓国でサバイブするのか、それとも他国に脱出するのか、ラストはどちらの可能性も含んでいるが、いずれにしても、感情を吐き出すことができた彼は何とかうまくやっていくだろう。そのきっかけを見逃さなかった両親や彼女の存在が大きい。

富田優子/●●人ではなく、何者になるかを問う青春映画:★★★☆☆

ぱっと見ではごくごく普通の韓国の少年だ。韓国で生まれ、韓国語を話し、韓国の学校に通い、成績優秀。ただ彼は韓国の国籍を持っていない。所持するパスポートは中華民国。母親は韓国人だが、父親は祖父の代に中国の山東省から韓国に逃げてきた人という複雑な歴史的背景がある。タイトルの「チャンケ」とは中華系の人の蔑称だという。“チャンケ”な彼への同級生からのいじめ、警官の過剰なまでの詰問など、その国の国籍を持っていない人への差別や不利益が腹立たしい。だが同様のことは日本でも、どこの国でも起こっていることを思うと、単に韓国の問題ではなく、世界共通の問題であろう。
そんな彼が不良少女との淡い恋、父親への反発など青春ものの定番要素を盛り込みながら、自身のアイデンティティを問い続ける姿が丁寧に描かれており、好感。また、少女の「三か国語(韓国語、中国語、英語)を話せていいじゃん」的なセリフには激しく同意した。差別から生まれたであろう長所を活かすも殺すも自分次第のはず。国を越えて、自分が何者になるか。そんな前向きなメッセージに希望を感じる作品だ。


【第33回東京国際映画祭】
会期:令和2年10月31日(土)~11月9日(月)
会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区) ほか都内の各劇場および施設・ホールを使用
公式サイト:https://2020.tiff-jp.net/

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