愛しの母国

中国映画界の今を担う監督・俳優が結集

チェン・カイコー総監督作の『愛しの母国』(10月30日公開)、チャン・イーモウ製作総指揮の『愛しの故郷(ふるさと)』(11月6日公開)がそれぞれ1週間、東京のグランドシネマサンシャインで上映され、その後全国順次公開される。
『愛しの母国』は昨年、中華人民共和国建国70周年を記念して国慶節(建国記念日)に公開され、昨年の年間興行収入第4位に入ったオールスター出演の大ヒット作。建国から現在までの歴史的出来事を背景に、7つの物語で構成されたオムニバス映画だ。

『愛しの母国』より「流れ星」
『青い凧』などの名監督ティエン・チュアンチュアン(中央)は近年俳優としても引く手あまた (c)2019Huaxia Films

1949年の新中国建国前夜、1964年の初の核実験成功、1984年ロサンゼルス五輪での女子バレーボールチームの金メダル、1997年の香港返還、2008年の北京五輪、2016年の有人宇宙船打ち上げ成功、2017年の人民解放軍建軍90周年の記念軍事パレードという7つのエピソードを収録。どれも中国の人々のノスタルジアをかきたて、プライドをくすぐるお話で、「国威発揚のプロパガンダでしょ?」と敬遠したくなるかもしれないが、そう言わずぜひ見てみてほしい。今の中国映画界を代表するヒットメーカーが、演技力にも定評がある人気俳優たちを起用した贅沢な作りで、それぞれの持ち味が楽しめる。

たとえば有人宇宙船「神舟11号」の帰還を貧困地域で育った若者たちの成長とからめて描くチェン・カイコー監督担当のエピソード「流れ星」は、概念的で説教くさいところはご愛敬だが、壮大な映像美はさすが。W主演を務めた監督の息子で俳優として成長著しいチェン・フェイユーと、日本ロケを敢行した『唐人街探案3』(原題)の公開も待たれるリウ・ハオランのフレッシュなコンビもいい。

トリの「青い空」を担当したのは、『薬の神じゃない!』が日本でも絶賛公開中の若手監督ウェン・ムーイエ。優秀な戦闘機の女性パイロットがパレードの飛行メンバーを外され、控えにまわって同僚らを支える姿を、大空に憧れた彼女の少女時代を交えて描く唯一女性が主人公の作品だ。本物の戦闘機パイロットに訓練を施して撮影したという素材を使い、映像の8割は実写にしたというこだわりと、情緒的だがクサくなる一歩手前でまとめるバランス感覚が光り、長編デビュー作の『薬の神じゃない!』でいきなり大ヒットを飛ばした才能は伊達ではないと思わせる。

『愛しの故郷』は今年の国慶節に公開され、やはり大ヒットしたオムニバス映画。中国の5つの地域を舞台に、より庶民の暮らしにスポットを当てた内容になっている。

『愛しの母国』は10月30日(金)より、『愛しの故郷』は11月6日(金)より、グランドシネマサンシャインにて1週間限定公開(その後全国順次公開)

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