ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

現代版“ノアの方舟”

「自然を深く観察しなさい。そうすれば、すべてのものをもっと理解できるでしょう」
これはアインシュタインが妻を亡くした友人への手紙で書いた言葉です(※)。自然科学全般に精通していたアインシュタインのこの言葉は、哲学的でもあり、自然がもたらす無限の可能性が、あらゆる困難の乗り越え方を教えてくれることを示唆しています。

本作は、荒れた農地に移り住み、8年という歳月をかけて自然の力を借りながら“究極の農場”を作り上げた夫婦の話です。「農業には興味ないから・・・」とスルーしてしまうのは、あまりにもったいない映画です。一見、自分とは無関係の世界の話に思えるかもしれませんが、日々の生活を見つめ直すきっかけだったり、深い癒しを得られるのではないかと思います。

この夫婦は大都会ロサンゼルスのアパートに住んでいましたが、保護した愛犬の鳴き声が原因でそこを追い出され、郊外へ移り住むことを決意します。料理家の妻は農地に住むことを望んだけれど・・・そこはカピカピに干からびた土地で、生物はミミズもいないという有り様。課題は山積みで、大自然の厳しさに翻弄されながらも、そのメッセージに耳を傾け、命のサイクルを傷つけないよう、じっくりと答えを探っていきます。その解決方法が、じつに面白くて驚かされます。常に想像を超えてくるもので、あらためて自然の摂理に感動させられます。“なんて優しく美しい解決法なのだろう”と。

タイトルは「ビッグ・リトル・ファーム=大きくて、小さい農場」ですが、私が思うに“現代版ノアの方舟”です。東京ドーム約17個分の農地には、この時代を生き残るために必要なものが詰まっているように思えます。実際に、大洪水で周りが甚大な被害を受けていても、ここだけは無事な様子が映画のなかでも描かれており、今では世界中から見学者が訪れるそうです。

たわわに実ったフルーツや多種多様な生物、愛嬌たっぷりの動物、緑豊かな自然。観ているだけで心が満たされる至福の91分でした。

3月14日(土)、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMA他、全国順次公開

※監督もインタビューでこの言葉を引用しています


(c) 2018 FarmLore Films, LLC

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