『リアム16歳、はじめての学校』カイル・ライドアウト監督

“母親が親友”の16歳男子を描いた訳

ーーカナダの高校には入学試験がなく、住んでいる地域の学校に通わなければいけないそうですね。学習能力に差のある子が一律に学ぶのは、どんな子にとってもしんどいです。

監督:そうなんです。僕は自宅教育に関するエキスパートではないですが、おっしゃるとおり、皆が同じ地域の高校に行くので、「もっと我が子にフランス語を学ばせたい」とか「科学を学ばせたい」とか、より十分な教育を施したいという親が増えてきているのだと思います。

ーー監督自身の高校時代の思い出を盛り込んだ部分はありますか?

監督:あります。高校時代にバドミントン部に入っていたのですが、ものすごく強い女の子がいたんです。あまりに強くて一度も勝てなかったから、ついデートに誘いたくなったんだけど、誘ったら彼氏がいると言われた(笑)。フラれたあともずっと彼女とバドミントンしなくてはいけなくて、つらかったです(笑)。

ーーバドミントンが強い女の子2人組にはモデルがいたのですね(笑)。そういえば、彼女たちはアジア系でした。同級生たちは民族的にも多様だし、リアムがあこがれるアナスタシアは義足の美少女。そのほか、性的指向や家族構成など、いわゆる“マイノリティ”に目配せしている印象を受けました。

監督:マイノリティにフォーカスしたわけではなく、私が人生で経験した場面、そのままです。アナスタシアは、障がいがありながらもすごく強くて、前に進もうとしている。そういう女の子を描きたかったので、義足という設定にしました。バンクーバーは人種のるつぼ。ありのままを皆さんに見てもらいたいと思います。



Profile
カイル・ライドアウト監督
1981 年 2 月 23 日、カナダ・バンクーバー生まれ。バンクーバーを拠点に 映画監督・脚本家・俳優として活躍中。バンクーバーのランガラカレッジにある Studio58 で本格的に演技、映画制作を学ぶ。短編映画『Wait for Rain』(2011)では コミコン国際映画祭で最優秀 SF/ファンタジー映画賞を受賞。15 年に写真家のエドワード・マイブリッジを題材とした『Eadweard』(日本未公開)で長編監督デビューを果たし、複数の国際映画祭で観客賞を受賞するほか、カナダ・スクリーン・アワード、 レオ・アワードでは脚本賞にノミネートされるなど成功を収めた。俳優としての出演作は、TV シリーズ「スーパーナチュラル」(14/未/DVD)、『ウォークラフト』(16)、 『デッドプール』(16)など。本作では、リアムのおじさん役を務めている。


4月27日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
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