【TNLF】『マイ・アーント・イン・サラエボ』トークイベント・レポート
ーースウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンについて
キーナさん:ベルイマンについては複雑な気持ちで見ています。彼はとても良い監督ではありますが権威主義的な存在になっていて、今の私たちの仕事のやり方とは対極にあるような存在です。彼はリスペクトされているけど、ちょっとリスペクトされすぎというところもあるのではないかと思います。ベルイマンの映画で描かれる人物というのは様式的な描かれ方をされていますが、私たちの作品はもっと現実に即したものだと思います。
▼ここからは関連情報として、前夜祭で語られた内容を一部掲載します
登壇ゲストはキーナさんほか、ガブリエラ・ピッシュレル監督(『アマチュアズ』『イート・スリープ・ダイ』監督)とヨハン・ルンドボルグさん(『アマチュアズ』『イート・スリープ・ダイ』撮影監督)の3名。
ーースウェーデンにおける映画製作の背景について
ヨハンさん:オーストリアからのユダヤ系難民だったハリー・シャインという人がスウェーデン映画協会を立ち上げたのですが、彼はベルイマンの大親友で、ベルイマンをとても支援していました。彼がいわゆる“良質の映画”という概念を作ったのですが、その最たるものがベルイマンといえると思います。そこが基準になって、彼は国からの支援金をその良質な映画と思われるものに振り分けたわけです。(※通訳の方によると少し冗談めいた皮肉っぽいニュアンスで語られていたようです)
ピッシュレル監督:スウェーデンでは教育が無料なので、私は大学に進学して映画監督になるための教育を受けることができました。『イート・スリープ・ダイ』を製作するにあたって、ヨハンは同じヨーテボリ大学だったので私から声をかけたのですが、卒業生のネットワークをたどっていくうちにキーナとも巡り会えてこのプロジェクトが実現しました。
キーナさん:映画製作において一番大きな出資は国からの支援なんですが、その他は国営テレビ局だったり、地方自治体になります。スウェーデンでは地方自治体が映画製作を支援しているというか、映画製作会社を経営しているようなところがあります。あとは他の国との共同製作という形で予算を得ることもあります。良い映画を作るにはもちろん予算も重要ですが、その上で良いアイデアがないといけないと思います。
キーナ・オーランダー China Åhlander(プロデューサー、脚本家)
映画雑誌“Chaplin”の編集長で後にスウェーデン映画協会の出版責任者を務めたLars Åhlanderを父に、子供向けユースフィルムフェスティバル”Barn- och Ungdomsfilmfestivalen (BUFF)”を始めたCentenariÅhlanderを母に持ち、幼少期から映画漬けの生活を送る。監督として短編も手掛けている。『イート・スリープ・ダイ』のプロデューサーとしてスウェーデン・アカデミー(グルドバッゲ)賞を受賞。『マイ・アーント・イン・サラエボ』、『レフュジー532』では脚本も手掛ける。
【開催概要】 トーキョーノーザンライツフェスティバル 2019
会場:ユーロスペース 会期:2019 年 2 月 9 日(土)~15(金)
主催:トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト:http://tnlf.jp/ (スケージュール詳細はこちらから)
Face book:https://www.facebook.com/tnlfes
Twitter:https://twitter.com/tnlfes
【チケット情報】
ユーロスペース公式ウェブサイト、劇場窓口にて上映 3 日前より販売! 一般 1,500 円 学生・シニア・ユーロスペース会員 1,200 円
*ユーロスペースの火曜日サービスデー 1,200 円が適用されます。