『血観音』楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)監督インタビュー

相手への支配を美しい言葉で包み隠す文化がある

——劇中の一家の会話では、国語(いわゆる中国語)と広東語がチャンポン状態で用いられています。どのセリフを広東語にするか、監督のなかで最初から決まった設定があったのでしょうか?

楊:ありました。私は国語と台湾語の両方を使う二重言語の家庭で育ちました。母はなんでもない話は国語でするのですが、怒ったときは台湾語が出てくるんです。映画でも同様の原則を用いて、香港出身のカラ・ワイが孫娘に「あなたのためよ」と上辺だけの話をするときは国語、本当の気持ちを口にするときは広東語を使うようにしました。台湾で、だいたい30歳以上の観客であればこの映画の言語の使いわけの意味するところはすぐ理解できると思います。若い世代は二重言語で育っていないので、わかりづらいかもしれませんね。

——濡れ場の撮影の参考に、女性向けAVを見て研究したとうかがったのですが、本当ですか?

楊:私とカメラマンはどちらも男性ですが、女性の心情を書いた脚本ですし、女性目線で撮影したいと考えました。ちょうど濡れ場の撮影が迫っていたので、女性向けのAVを教材にすることにしたんです。主にスウェーデンの女性監督が撮ったAVを見て研究しました。濡れ場だけでなく、その後撮ったいろんな場面で役に立ちました。

——この映画を通して、女性をより妖艶に見せる術が磨かれたのでは?

楊:撮影が終わったとき、「しばらく女は撮りたくない」と思いましたね。ちょっと疲れました(笑)。今度は違った角度から女性を理解していきたいと思います。私はそもそも、一度やったことを繰り返すのは好きではないので。

ただ、この世界に対する悲観的視点や、生きることへの情熱といった部分は、私の過去の作品でも描いてきたことです。自分では何も考えず、ただ撮りたいものを脚本に書いて、テーマは重複しないようにやってきたつもりなのですが、作品をずっと見てきてくれたある記者から、私の作品の登場人物はみな自由を追い求めていると指摘されました。テーマは変わっても、心は変わらないということですね。

大阪アジアン映画祭HP http://www.oaff.jp/2018/ja/index.html

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