【FILMeX】第18回東京フィルメックスが開幕。
第18回東京フィルメックスのオープニングセレモニーが11月18日、東京・TOHOシネマズ 日劇1にて行われた。「映画を通して世界が見える。映画を通して自分の心もわかります。楽しい日々をご一緒いたしましょう」という林加奈子映画祭ディレクターの開会宣言ではじまった本映画祭では、「映画文化の未来を大切にしたい」をコンセプトに、11月26日までの9日間、コンペ部門では、アジアの新進映像作家の作品が9本、特別招待作品が10本、ジャック・タナー特集で2本の作品が上映される。
今年の審査員、クラレンス・ツィ(香港・映画評論家)、ミレーナ・グレゴール(アルセナール芸術監督)、國實瑞恵(映画プロデューサー)、エレン・キム(映画祭プログラマー)、審査委員長の原一男(映画監督)各氏が登壇後、審査員を代表して、原一男氏が挨拶をした。
一か月前に行われた記者会見の時に、コンペ作品の紹介を聴きながら「あなたたち、今回自分たちが選んだこの作品を、ちゃんと向き合って読み解けるの、映画的センスを持っているのって挑発された」と感じたという原一男氏。そういう自分自身、40数年の映画人生で「自分の映画ができて公開する時に観客に向かって、自分たちが作った作品、あなたたち読み解けるかいっていう挑発するつもりで公開してきた」のだという。だからこそ「映画祭で選ばれる作品というのは、そういう挑発するという作り手の魂がこもっている作品が並んでいるわけですから、審査員として観る側も、自分がこの作品をどこまで読み解けるかっていう緊張感を持っています」と、自身の今の心境を告白した。
そして、それを踏まえ観客へ突然の提案をする。「観客の皆さんも今回のラインナップを審査するつもりで観てほしい。そして皆さんが審査した作品と我々が審査した作品を比べてみる。どっちがより深くその作品を読み解いているかっていうことを競ってみませんか。発表の時にもう一度皆さんにお会いして、審査員の選考内容の発表を聴いていて、なんだ、審査員ってこのレベルでしか読み解いていないのか、俺のほうが深く読み解いているよっていう風なことを。観客の皆さんにも、火花を散らすようなことで映画を観るというような体験をしてほしい」と。そして「私たちもまた単に仕事として映画を観るのではなくて、自分の生き方を賭けて映画を読み解くと、そういうような審査をやりたいと思っております」と誓い、挨拶を締め括った。その決意に、会場からは拍手が巻き起こった。
セレモニー終了後は、オープニング作品『相愛相親』の上映を控えた、主演で監督のシルヴィア・チャンが登壇し、会場から盛大な拍手が巻き起こり大いに盛り上がった。「日本に戻って来られて大変嬉しいです。テレビやiPhoneやiPadではなく、大画面で私の作品が上映されるということで、とても嬉しく思っております。そうしますと、映画の細かい所までご覧いただけるかと思います。今回は大変シンプルなストーリーとなっております。元々のストーリーがシンプルなだけに、そもそも私は映画を撮影しているのかを問い直すまたとない機会となりました。今回楽しみながらこの映画を作りました。ぜひ皆さんにも楽しんでいただければと思います」
第18回東京フィルメックスは東京・有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇にて11月26日まで開催。コンペ部門から最優秀作品賞、審査員特別賞、学生審査員賞が。全作品を対象にして、観客賞が選ばれる。
▼第18回東京フィルメックス▼
期間:2017年11月18日(土)〜11月26日(日)
場所:有楽町朝日ホール・TOHOシネマズ日劇
公式サイト: http://filmex.net/2017