【TIFF】勝手にふるえてろ(コンペティション)

映画と。ライターによるクロスレビューです。

作品紹介

(c)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

“脳内片思い”の毎日に“リアル恋愛”が勃発⁉ ふたりの彼氏(?)の間で揺れながら、傷だらけの現実を突き抜ける、暴走ラブコメディ!(TIFF公式サイトより)

クロスレビュー

富田優子/松岡茉優の魅力の炸裂度:★★★★★

本作の最大の魅力は、主演・松岡茉優の魅力が炸裂していることだ。10年間、ずっと好きだった人への想いをこじらせすぎて、妄想モード。松岡にはコメディセンスはあると以前から思っていたが、本作のヨシカ役は大当たり。切れ味鋭く、テンポよく畳みかける毒舌は圧巻で、24歳OLの孤独をパワフルに、そして繊細に演じている。
実は筆者が本作を見たのは、TIFF開幕前のマスコミ試写で。まだ他のコンペ作を鑑賞前だったのだが、その時点では「良くできている映画だけど、こじらせ女子の話は賞レースに絡めるかのう・・・」と思っていた。だが、他の作品を見ると、意外に多少なりともこじらせている人の話はあったのに驚いた(「さようなら、ニック」「マリリンヌ」など)。「こじらせ」はもしかしたら、世界のトレンドなのかもしれない。そう思うと、本作の受賞の可能性は高い、と見ている。結果が楽しみだ。

鈴木こより/こじらせヒロイン、世界にはばたけ!度:★★★★★

「こじらせ」とか「視野見(しやみ)」という言葉のニュアンスが世界にちゃんと伝わっているのか気にしながら見ていた。が、よくよく考えると、それは杞憂だということに気づく。この映画には言葉の壁を軽々と超えてしまうような、凄まじい映像力がある。片想中の女子の脳内というのは感情の起伏や葛藤がハンパないが、主演の松岡茉優は表情をクルクルと変化させ、切なさを歌声にのせる。とにかく”わかりやすさ”にこだわったという演出もストレートに響いて胸を打つ。妄想だけで他人と会話していたヒロインが、その想いを口にした瞬間、見える世界は変わってゆく。あぁ面白かった!


【第30回東京国際映画祭(2017)開催概要】
開催期間:2017年 10 月 25 日(水)~11 月 3 日(金・祝)
会場:六本木ヒルズ(港区)、EXシアター六本木 他
公式サイト:http://www.tiff-jp.net

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