SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017開幕!

オープニング作品は『ANIMAを撃て!』堀江貴大監督らが舞台挨拶

集合写真7月15日(土)、14回目となるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017のオープニング・セレモニーが、埼玉県川口市のSKIPシティ映像ホールで行われ、コンペティションでノミネートされた監督や審査員、長編部門国際審査委員長の黒澤清監督など、世界中から沢山のゲストが登壇した。

上田清司埼玉県知事

上田清司埼玉県知事

上田清司埼玉県知事(SKIPシティ国際映画祭実行委員会会長は、挨拶の中で『湯を沸かすほど熱い愛』の中野良太監督、『東京ウインドオーケストラ』の坂下雄一郎監督、今年10月に長編5作目の『彼女がその名を知らない鳥たちを』が公開予定の白石和彌監督らの名前を挙げ、本映画祭が当初の目的を確実に果たしているのを実感していると述べた。

また、奥ノ木信夫川口市長(SKIPシティ国際映画祭実行委員会 副会長)は、節目となる15回目の開催に向けて、また来年4月1日から特例市から中核市となる川口市の発展と併せ、映画祭の更なる発展を約束し、また今年から新たな取り組みとしてコンペティション各部門において観客賞を新設、入場者数も昨年は9050人だったところ、今年は9500人という目標を立てたことを報告した。

八木信忠総合プロデューサー

八木信忠総合プロデューサー

つづいて映画祭の八木信忠総合プロデューサーは「昔は映画会社が、監督養成の教育をやっていました。助監督として雇い、下積みを経て、監督としてデビューさせていたのです。それを止めてしまった今、その一端を何とかここでもやりましょうということで、色々工夫をしたのですが、それが映画祭のオープニング作品を作ってもらうということでした。とにかく1本作ってもらって、皆さんの評価を受けて、それで大きく世界に飛び出していっていただきたいという思いで、やっています」と、映像産業発信基地としてのSKIPシティで開催される映画祭の意義を説明し、挨拶とした。



舞台挨拶セレモニー後のオープニング上映では、映画祭が主体となり、若手監督を抜擢してプロデュースした『ANIMAを撃て!』がワールド・プレミア上映された。本映画は、クラシックバレエの留学支援の試験を目指すも、自分の表現したいものが見つけられずにいたダンサーが、ホール職員のドラムの音で自分が自然体になれるのを発見。紆余曲折を経て2人がコンテンポラリーダンスとドラムのセッションで最終試験に臨むまでを描いた作品。2人の成長と、ダンスとドラムのコラボレーションが作品の魅力になっている。上映前には出演の服部彩加、小柳友、堀江貴大監督が登壇しての舞台挨拶が行われた。

昨年の映画祭のコンペ部門『いたくても いたくても』ではプロレスを扱った堀江監督。一転したこの作品ではダンスを取り上げている。「言葉ではなくて、身体で感情を表現することに興味があって、そういう意味ではダンスもプロレスも同じなのです。コンテポラリーダンスを選んだのはダンスの中でも懐が深いからということ、それにドラムを組み合わせたのは、ドラムというのはすごく身体を使うから」とその理由を語った。

服部彩加

服部彩加

主演の服部彩加はこれが、初めての演技経験だったという。「堀江監督が私の殻を破るという目的で特訓をしてくださいました。振付家の北川さんと私の3人で本気の取っ組み合いというのを30分間したことがあります。私が壁から壁に全力でぶつかっていく。それを堀江監督と北川さんが全力で止めるというものだったのですけれども、激しすぎて監督の足の指にひびが入ったなんてこともありました。そのお陰で撮影には自信をもって臨むことができました」




小柳友

小柳友

この作品では、ダンスとドラムが重要になっている。瞳が真っすぐで、すごく純粋なところが映画の力になると感じたという監督が、すぐに出演を決めたという服部彩加は、3歳からクラシックバレエを習っていて、今も競技ダンスという試合に現役で出場している。それにも関わらず「ダンスは本当に好きだったのですけれども、コンテポラリーって、全然違った動きなので最初は苦労しました」と語ったのに対して、ドラマー役の小柳友は、バンドでドラムをやっているのを監督が知っていての起用だった。それもあってか「練習はしていない…というのは嘘です。コソ連をして池尻大橋のスタジオの店員さんとすごく仲良くなりました。ただプロのドラマーの役でもなく、僕も脚本にちょっとだけ参加させていただいて、等身大に近い役を作れたので、特に苦労はしていないです」と余裕の表情だった。

堀江貴大監督

堀江貴大監督

シナリオを書いている時は、ダンスとドラムのセッションがどんなものになるのかまったく想像ができなかったという堀江監督は、製作の過程の中で思わぬ幸運に恵まれたことを告白する。「ある日、ダンスのコンペティション行き、幕が上がったら舞台上にドラムが置いてあって、ダンサーの方が出てきて、ドラムとダンスのセッションが始まって本当に震えるような体験をしてきました。そのダンサーで振付師の北川 結さんとドラマーの守道健太郎さんにその場で話しかけて、映画に協力してもらうことになったんです」

最後に堀江監督は「私はまだ新人の監督ですが、素晴らしいスタッフ、キャストの皆さんの力があって完成しました。そうした皆さんの熱い魂が映っている作品になっていると思いますので、どうぞ楽しんでいただけたらと思います」と挨拶し、舞台挨拶を締め括った。



『ANIMAを撃て!』

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©2017埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ

<ストーリー>
クラシックバレエカンパニー「BAN」に所属する果穂は、留学支援のための試験に挑むものの、自分が本当に表現したい踊りを見つけられずにいた。果穂は、ホール職員の伊藤がドラム経験者だったことを知り、コンテンポラリーダンスとドラムのセッションで最終試験に臨むことに決める。
監督:堀江貴大
出演:服部彩加、小柳友、中村映里子、黒澤はるか、藤堂海/大鶴義丹
製作:埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
<2017年/日本/78分>



なお、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017は、7月15日(土)から23日(日)までの9日間、埼玉県川口市のSKIPシティほかで開催。会期中は長編部門12作品、短編部門12作品、アニメーション部門10作品の、3部門34作品がコンペティション上映され、黒沢 清 長編部門国際審査委員長を中心とした審査員による最終審査を経て、最終日23日に各賞が発表される。また、そのほかにも、SKIPシティから羽ばたいた新鋭監督たちの特集「飛翔する監督たち」や話題のVRにスポットをあて、国内外のVR映像を無料で体験できる特別企画「Dシネマ?新たなる潮流」など盛りだくさんの内容となっている。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017 開催概要

ポスター
■会期: 2017年7月15日(土)~7月23日(日)
■会場: SKIPシティ 映像ホール、多目的ホールほか(川口市上青木3-12-63)
彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市上峰3-15-1)
[7/16、7/17のみ]
こうのすシネマ(鴻巣市本町1-2-1エルミこうのすアネックス3F)[7/16、7/17のみ]
■主催: 埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会
■公式サイト:www.skipcity-dcf.jp

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