おとなの恋の測り方
理想のパートナーの条件として「三高(高学歴、高収入、高身長)」を求めるのはもう古い…と、言われてはいる。時代は移り、今は性格や価値観の一致を求める女性が多いという。とはいえ、「できることなら、外見も理想どおりの殿方と出会いたいっ…!」。それが多くの女性の本音ではないだろうか。
でも、その“理想の男性”像というのは、ホントに自分の理想なの?
フランス映画『おとなの恋の測り方』は、物心ついた頃から当たり前だと思っていた価値観にさりげなく疑問を呈してくれる、大人のためのラブストーリーだ。
美しい弁護士ディアーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)は、レストランに忘れた携帯を拾ってもらったことをきっかけに、建築家アレクサンドル(ジャン・デュジャルダン)と出会う。ユーモアのセンスが抜群で、優しく、仕事ができてお金もある。その上、人生を楽しむことも知っている、ほとんどパーフェクトなアレクサンドル。その人柄にディアーヌはひかれていくが、どうしてもひっかかることがあった。アレクサンドルの身長は136センチ(上げ底ナシ時)。人間は大きいけれど、とっても小柄な男性なのだ。
デートをしても、周囲の視線が突き刺さる。家族や知人に紹介しても、相手にどう思われたのか気にかかる。
わかるよディアーヌ。顔はジャン・デュジャルダンだし、他はパーフェクトだし、「あと背だけ…」と思う気持ちはものすごくわかる。いろんな意見があると思うが、「素晴らしい人なら関係ないわ」とあっさり受け入れられる人がいたら弟子になりたい。
でも、「背が低いってイケてない」という基準は、一体誰が決めたのだろう。飛躍するが、子どもの頃に見た絵本の王子さまがみんな小柄だったら? いわゆるファッションモデルという職業の身体的条件が「小柄であること」だったら? 女性たちが幼い頃から思い描く理想の王子さま像は、まったく違った姿になっているんじゃないだろうか。極端な理屈ですが。
一緒に歩みたいと思える男性が目の前に現れたのに、深く植え付けられた理想の恋人像に邪魔される。固定観念にとらわれたディアーヌの心は、果たして解放されるのか…? 『おとなの恋の測り方』は、私たちの世界をちょっと大きくしてくれる、小さな男の物語だ。
6月17日(土)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー