『タレンタイム〜優しい歌』アディバ・ノールさん

「ヤスミン・アフマド監督は自分を大事にすることを教えてくれた」

ーヤスミン作品以外でも女優としてお仕事されていますが、女優業と歌手、より重きを置いているのは?

アディバ:圧倒的に歌を重視しています。エンターテインメントの世界に入ったのも歌がきっかけだったわけですし。司会業もたくさんやらせていただいていますが、歌が私にとって最愛のものであるのは間違いないですね。演技の順位はどうしても歌の後。なぜ女優業を躊躇するのかというと、初めてプロとしてお芝居をしたのがヤスミンの作品だったので、彼女との仕事が自分の中で基準になっているからです。最近でもいろんなテレビドラマや映画への出演依頼をたくさんいただくのですが、ほとんどがステレオタイプで、丸っこい体型で場を楽しませるコミカルな役ばかり。たぶん、それは太った人を笑いの対象にする延長線上にある考え方だと思うんですよね。

ー『タレンタイム』の威厳のある教師役や、『細い目』などで演じた雇い主と対等な付き合いをするメイドなど、ヤスミン監督は決して“笑い担当”の役回りでアディバさんを登場させませんでしたね。

アディバ:そもそも私はコメディアンじゃありませんし、ヤスミンの作品も決してコメディではなかった。なのに、なぜ私をコメディアンの枠に押し込めようとするのか分かりません。私はヤスミンとの付き合いの中で、自分を大事にすること、自分の価値を認めてあげることを学びました。太った人がステレオタイプに押し込められ、笑いの対象として消費されていくことのないよう、私は自分の仕事をしっかり選んでいきたいと思います。

〈プロフィール〉
アディバ・ノール Adibah Noor
マレーシア音楽賞を何度も受賞した国民的歌手にして女優。1970年生まれ。90年代半ばから芸能界で活躍し、司会業、俳優業、吹き替え声優など幅広く活躍。ヤスミン・アフマド監督作では長編6作中4作品に出演。とりわけ『細い目』『グブラ』『ムクシン』で演じたメイドのヤム役で強いインパクトを残す。



『タレンタイム〜優しい歌』
3月25日(土)よりシアター・イメージフォーラム、4月8日(土)名古屋センチュリーシネマ、4月15日(土)シネマート心斎橋ほか全国順次公開
© Primeworks Studios Sdn Bhd

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