【TNLF】キス・ミー!

映画と。ライターによるクロスレビューです。

作品紹介

C KISS ME 001演劇部の女子高生タレは、それまでの子供向けの劇に替わり、本格的な戯曲の上演に挑戦する。有名だが飲んだくれの役者を顧問に迎え、上演に向けての特訓が始まるが…。サッカー部のヴェガールが加わり、一層個性豊かになった演劇部員の奮闘と恋愛模様を描く。すべての文化部員たちに捧げる、胸キュン青春ラブ・コメディ! (公式サイトより)

クロスレビュー

藤澤貞彦/若さが眩しい度:★★★☆☆

目と目を合わせ見つめ合った瞬間に、突然恋の炎が燃え上がる。こんな作品を観たのはいつ以来だったのだろう。アヌーク・エーメ主演『火の接吻』(49年アンドレ・カイヤット監督)をちょっと思い出したりもしていた。そういえば、この作品も「ロミオとジュリエット」の撮影中という設定で、劇中劇が2人に影を落としていくというものだった。本作はどこかそうしたクラクック映画の雰囲気を併せ持っている。それでも気恥ずかしくはならないのは、主演の女子高生タレと演劇部のコーチを演じたクリストファー・ヨーネル(『チャイルド・コール呼声』『レヴェナント:蘇えりし者』)が魅力的だからだ。演劇部の枠を超え、女優を目指しているタレと、俳優として名を成したものの何かから逃げてこの田舎町にやってきたコーチは、実は本質の部分がよく似ている。コーチによってタレは、冒頭のオーディションで「経験不足」と烙印を押された部分を克服し、コーチは再び人生を前に進める決心が付く。この化学反応こそが、この作品の1番の魅力であり、この作品を単なる青春恋愛モノでなく、また少女の成長物語という枠にとどまらないものにしている。

鈴木こより/真っ直ぐな瞳に恋をする度:★★★★★

北欧独特の淡い色合いに、透明感あふれる少女たち。光のヴェールをまとったようなビジュアルに、中身は少女漫画のエッセンスが詰まっているという、個人的にとても好みの青春映画。情熱と激しさを秘めたヒロインと仲間思いの部員たちが、ドSなイケメン顧問とともにワンランク上の舞台に挑戦する、という少女漫画的(スポ根的でもある)セオリーを貫いたような筋書きを、センス溢れる画作りと丁寧な演出で魅せてくれる。彼らが挑む戯曲というのは大人の悲恋を描いたものなのに、その台詞とヒロインの恋心がとてもマッチしていたり、言葉にできない想いを視線や雰囲気で伝えたり、妙に色っぽいシーンにドキドキ。スティーアン・クリスチャンセン監督には、ぜひ今後も青春ラブコメを撮り続けていただきたい。

トーキョーノーザンライツフェスティバル 2017開催概要

映画祭会期:2017年2月11日(土)~2月17日(金)
会場:ユーロスペース
イベント会期:2017年1月21日(土)~2月19日(日)
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト:http://tnlf.jp/ (映画祭以外にもイベントが盛りだくさん。詳しくはこちらから)
※1/21(土)のオープニングイベントではラース・フォン・トリアーの「キングダム」イッキミ!を開催するほか、切り絵作家アグネータ・フロック展やアイスランド写真展、音楽イベントなど盛りだくさん。来日ミュージシャンによる伴奏付きサイレント映画の上映も!
Face book:https://www.facebook.com/tnlfes
Twitter:https://twitter.com/tnlfes
※前売り券はe+(イープラス)のWEBサイトにて販売中。前売り券は作品、日時指定でご購入いただけます。全席自由席、各回入れ替え制で、上映開始10分前から整理番号順のご入場となります 。整理番号をご確認の上、必ず開場時間までにお越しください。

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