『幸せなひとりぼっち』ハンネス・ホルム監督

ベストセラー小説を映画化することへの挑戦~原作ファンにいかに気に入ってもらえるか

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頑固なオーヴェに対してまったく動じることなく、時に優しく、時に厳しく正直に接するパルヴァネとその夫と子供たちとの交流を通して、オーヴェは自分の過去を振り返り、人生を見つめ直していく。人間とはぶつかり合うからこそ分かり合えることもあり、オーヴェの心が氷解していくさまは、見る者の心にも温かい感情が湧きあがってくる。また、彼と同居することとなるモフモフな猫の存在感と若き日のオーヴェを演じたフィリップ・ベリのイケメンぶりも見逃せない。本国スウェーデンでは昨年のクリスマスシーズンに公開され、以降5か月に及ぶロングランとなり、世界各地でもヒットを記録。そんな本作『幸せなひとりぼっち』(12月17日公開)のメガホンを取ったのは、ハンネス・ホルム監督だ。原作は全世界で250万部以上のベストセラーだが、だからこそ映画化することの難しさを感じていたとのこと。監督のインタビューを以下にお届けする。

――『幸せなひとりぼっち』は世界各地で好評を博し、日本での公開も決まりましたが、そのときのお気持ちをお聞かせください。

ハンネス・ホルム監督(以下HH):2年前、スウェーデンの寒い部屋で脚本を執筆していたときに、日本で上映してもらえて来日までできると分かっていたなら、最高な気分で作業できたのにと思っています。来日できて嬉しく思います。

――ホルム監督が抱かれた日本の印象はいかがでしょうか?

HH:すごく居心地がいい国です。街もクリーンですね。スウェーデン人と日本人は似ているかもしれない。基本的には静かで謙虚な人たちで、ここでも生きていけると思いました。

――監督が本作を映画化することとなったきっかけを教えてください。

HH:原作本はスウェーデンではベストセラーになった人気本で、あるプロデューサーから映画化できないかと相談されたのがきっかけでした。私は実は、原作があるものを映画にするのは好きではなくて、困難な作業であることは予想できたので、最初は断ったんです。ベストセラーの原作本の映画化はフィルムメーカーとしては愚かな挑戦だと思っています。失敗するケースがほとんどですからね。原作ファンはとても明確なイメージを頭の中に持っているので、映像にするのはとても難しいんです。ただプロデューサーにどうしてもと頼まれて、最終的には承諾しました。これまでオリジナルの脚本しか取り組んだことがなかったので、非常に苦労しましたし、予想通り難しい作業でした。

――小説と脚本の違いについて、どう感じておられたのでしょうか?

HH:小説のファンは本の世界を気に入っているので、その期待に応えるのはなかなか難しいことです。ですので、逆に原作に忠実な脚本は書きたくないと思いました。あくまで原作は原作、映画は映画というスタンスを貫きました。脚本を書くうえで重要なのは、ストーリーを小説から盗むことでした。要するにストーリーを抽出して再構成する。キャラクターについても同じです。本を1回読んだ後は、気にせずに作業するようにしました。たくさんの読者が本はコメディだと思っていたようですが、自分にとっては人生の話で真面目なドラマだと考えていました。

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