【FILMeX】第17回東京フィルメックスが開幕。
第17回東京フィルメックスのオープニングセレモニーが11月19日、東京・TOHOシネマズ 日劇1にて行われ、林加奈子ディレクターによる「皆様に心からの尊敬と感謝を込めて、豊穣な映画を本気で上映してまいります。心を込めて1本1本大切に上映いたします」という開会宣言でスタートした。
つづいて、審査委員長を務める映画評論家のトニー・レインズ氏、審査員を務める、女優で声優のアンジェリ・バヤニ(『イロイロ ぬくもりの記憶』)、パク・ジョンボム監督(『ムサン日記〜白い犬』)、アジア映画研究者の松岡環氏、映画プロデューサーのカトリーヌ・ドゥサール氏(『エグジール』)が登壇し、代表してトニー・レインズ審査委員長より挨拶が行われた。「私は以前、東京国際映画祭に参加したことがあります。その時には安倍晋三とかいう方が登壇して、クール・ジャパンという、何かわけのわからないことについて話していたのですが、この映画祭はそういうことがないので、ホッとしています。私たち審査員にとって、作品を観て審査することはとても光栄なことと思っておりますが、観客の皆様も楽しいひとときをお過ごしください」審査員はコンペティションの10作品を審査、26日、最優秀作品賞、審査員特別賞が選ばれ授与される。
セレモニー終了後は、オープニング作品『THE NET 網に囚われた男』の上映を控えたキム・ギドク監督が盛大な拍手のなか登壇した。熱狂と興奮のあまり女性ファンが監督に抱きつく一幕もあり、一瞬会場がどよめいた。
キム・ギドク監督は、「土曜日の夕方、貴重な時間に見に来てくださいまして、心から御礼申し上げます。しかしながら、とても幸せなはずの週末に見るには悲しくて胸が痛くなるような映画です」とユーモア半分に述べた後、「皆様もご存知のとおり朝鮮半島は、北朝鮮の核問題など問題が山ほどあります。そしてアジアの各国、日本や中国その周辺の国家は、北朝鮮とすべて関連があるところだ思います。韓国と北朝鮮が平和的に統一されれば、日本の国防費も減り、韓国の国防費も減ると思います。すべてのアジアの国が安全になると思います。韓国と北朝鮮は、朝鮮戦争以来66年間にわたって紛争が続き、お互いに恨んだり、非難したりということが続いています。その状況はいまだに変わっていません。それが、私がこの映画を撮ろうと思った理由です。この映画の最後は苦しくて悲しいものではありますが、私たちの未来は、この結末と反対のものになることを願っております」と、同作に込めた思いを語り、大きな拍手のなか上映が始まった。
▼第17回東京フィルメックス▼
期間:2016年11月19日(土)〜11月27日(日)
場所:有楽町朝日ホール・TOHOシネマズ日劇
公式サイト:http://filmex.net/2016/