『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督インタビュー

ホロコースト教育を避けたがる仏の教師たち。「戦争について学ぶ大切さを若者が語ることが大切」

■フランスは、女性監督にも自由を与えてくれる

―監督は「フランス映画の女性サークル」(CERCLE FEMININ DU CINEMA FRANÇAIS )というグループを立ち上げて活動しているそうですね。

監督:女性監督だけではなく、プロデューサーや配給会社、金融関係者、女優など、映画業界の多岐にわたる職業の女性が30人ほど参加しています。外部から講演者を招いて共通の話題について話してもらうこともあれば、映画業界で起こり得る問題についてみんなで解決方法を話し合ったりします。

―日本映画界ではヒット作というと若い女の子が主演の映画ばかりです。一方、フランス映画界では、例えば今年のフランス映画祭のラインナップを見ただけでも、熟年の大女優がロマンスを演じたり、主演で活躍している作品が何本もある。フランスでは女性監督やプロデューサーの力が強いからではないか?と推測するのですが、フランス映画界の女性の地位というのは、現在どんな感じなのでしょうか?

監督:地位を勝ち取るには闘わなきゃ!(笑)それは置いておいて、まず、日本ではメインの観客層がおそらく30〜40代までの若い世代なのではないかと思います。フランスでは35歳以上、40〜50代まで広がっているので、観客が主人公に自分を重ねるためには、やはりそれ相応の年齢の女優が必要となります。また、フランスは映画製作に必要な資金調達の手段も豊富で、映画を製作する環境はかなり恵まれていると思います。女性監督にとっても良い環境です。アメリカの状況を見ても、女性監督にとっては厳しいですし、女優も40歳を越えるとなかないい役がないという話を聞きますから、フランスは恵まれていますよね。

―きっと業界内部の人が闘っていかなければいけない問題ですよね。

監督:ハイ!(笑)

Profile
プロデューサー・脚本家・監督
マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール Marie-Castille Mansion Schaar
コロンビア・ピクチャーズのDevelopment Excutive、ハリウッド・リポーターの国際版編集長などを務めた後、 1998年に制作会社LOMA NASHAを共同で立ち上げ、着想、脚本執筆、公開時のマーケティングなど、プロジェクトを通した展開戦略に力を尽くしている。2001年、さらにVENDREDI FILMを共同で立ち上げ、この2つの制作会社で12本の長編を製作。 2012年に監督デビュー作「MA PREMIERE FOIS」と監督第2作「BOWLING」を公開。監督3作目となる『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』(14)がスマッシュヒットとなったことで一躍脚光を浴びる。最新作は、“HEAVEN WILL WAIT” (原題「Le Ciel Attendra」)。過激なイスラム教に傾倒し、シリアに向かうティーンエイジャーを描くという。

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『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』
原題=Les Heritiers
監督=マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール
脚本=アハメッド・ドゥラメ、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール
出演=アリアンヌ・アスカリッド、アハメッド・ドゥラメ、ノエミ・メルラン
配給=シンカ
(c) 2014 LOMA NASHA FILMS – VENDREDI FILM – TF1 DROITS AUDIOVISUELS – UGC IMAGES -FRANCE 2 CINÉMA – ORANGE STUDIO
フランス映画/2014 年/105 分/

公式サイト:kisekinokyoshitsu.jp

8/6(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、角川シネマ新宿ほか全国順次公開

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