『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督インタビュー

ホロコースト教育を避けたがる仏の教師たち。「戦争について学ぶ大切さを若者が語ることが大切」

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■ホロコースト教育を避けたがる教師たち

―この映画の大きな見所は、ホロコーストの生存者であるレオン・ズィゲル氏の証言を、生徒役の若者たちが聞いている表情をライブで捉えた映像を使用していることです。フランスの若者がホロコーストについてあまりにも知らないことに驚いたのですが、このようなシーンを盛り込んだのは、監督の中にも若者の歴史認識に対する危機感があったからでしょうか?

監督:はい、今のフランスではホロコーストを語るのが次第に難しくなってきています。フランスの学生からは「それって一体どういうこと?」と言われたり、「またユダヤか」という反応をされる。教育現場でホロコーストの話をすれば、学生の間に対立や気まずさが生まれたり、いろいろな問題が起きてくるので、歴史の教師もこの部分を飛ばして授業をしたいと考えがちなんです。
 今回の映画に登場する教師は、難しくデリケートな問題であるからこそ、敢えてそれに触れさせることで、より大切なことを学ばせることができました。

―日本でも、若い世代が過去の戦争について知る機会が段々と失われています。映画として語るとしても、さまざまな立場や考え方の違いがあり、作る側にもリスクがあるし、見る側にも重圧がかかる。歴史や紛争について映画が語る意味について、監督はどう考えていますか?

監督:アハメッドのような若者が、戦争について学ぶ大切さを語ることがとても大切だと思うのです。若者というものは、若い人同士で話し合ったことは素直に受け入れるのですが、大人から言われると抵抗します。ですから、この映画をとおして、14歳から16歳の生徒が実際経験したことを知ると、若者たちも心を開いて受け入れてくれる。そういうところに、映画で戦争を語ることの大切さがあると思います。

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