『カンパイ!世界が恋する日本酒』小西未来監督インタビュー

米国での経験を生かして、奥深い日本酒の魅力を世界へ発信

■海外の日本酒消費はまだまだこれから!「身近に“通”がいないとファンになるのは難しい」

ーー海外で日本酒が人気だという話はよく聞きますが、実際、例えばアメリカでは、日本酒ってどんなシーンで飲まれるものなのでしょうか?

kampai sub1小西:今は段々と興味が出てきた段階で、ワインやビールに比べたらまだまだ消費は少ないと思います。一番多いのは、食中酒として、ワインの替わりに飲むパターン。日常的に日本酒を愛飲しているアメリカ人やヨーロッパ人は、ほんとに少ないと思いますね。興味は持ってるけれども、レストランで出てくるのがいいお酒じゃなかったり、サーブの仕方が悪かったり。そのあたりが改善されてないと、たとえばこの映画を観て日本酒を飲んでみようと思っても、いいお酒にめぐり逢える確率はすごく低いと思うんですよね。ですから、いいお酒が存在して、いいお酒を紹介する人が要る。さっきハーバーさんとも話したんですけど、日本酒のファンになるためには、身近に日本酒の通がいないとダメなんですよ。

ーー日本でもなかなか、そういう環境に恵まれるのは難しいですから、海外だとなおさら大変ですね。

小西:日本は状況が変わってきて、若い人でも入りやすい日本酒バーなどが増えていますよね。一番いいのは、正直に告白しちゃうことだと思うんですよ 。たとえば「日本酒を飲んだことがあるけど、美味しいとは思わなかった」って言うと、たぶん、日本酒に詳しくて新しい人を引き入れたいと思ってる人は、おせっかいに紹介してくれるから(笑)。あと、最近は試飲会がいっぱいあるんです。この映画でも二度ほど登場するんですけど、いろんなメーカーが出品している地酒の試飲会に行くと、自分に合ってるのが見つかるかもしれません。
極端な話、もっとミーハーなレベルで日本酒にはまってもいいと思うんですよ。蔵元がイケメンとかね(笑)。あんまり権威主義じゃなくて、別のアングルからでもなんでもいいので、チャレンジしてみてほしいです。

ーーそういう意味では、この作品のハーパーさんやゴントナーさんのように、外国人の方が一生懸命日本酒の魅力をわかって、伝えてくださっている姿を見ると、自分も一緒に新しいものを試してみたいという興味が湧きます。

小西:それこそ期待していたことで、僕自身も日本で育って日本酒をおいしいと思ったことはないし、オジサンの飲み物だと思っていました。自分もオジサンですけど(笑)。そんな風に敬遠していたけれど、ハーパーさんたちが日本の中で最も保守的なところに果敢に入っていって、いまだに日本酒を愛してる姿を見て、そこまで魅力があるんだったら、自分を試そうかなと思いましたね。

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