『カンパイ!世界が恋する日本酒』小西未来監督インタビュー

米国での経験を生かして、奥深い日本酒の魅力を世界へ発信

Miraikonishi映画ファン、とりわけ洋画を愛する方々にはお馴染みの映画ジャーナリスト・小西未来さんが監督を務めたドキュメンタリー映画『カンパイ!世界が恋する日本酒』が、7月9日(土)から公開される。
 外国人として初めて杜氏となったイギリス人のフィリップ・ハーパーさん、日本酒の魅力を発信し続けているアメリカ人ジャーナリストのジョン・ゴントナーさん、世界を飛び回りながら日本酒の魅力を伝える岩手の「南部美人」五代目蔵元・久慈浩介さんという、伝統ある日本酒の世界では異色の3人の目をとおして、その多様で奥深い世界に観客を誘う試みに挑戦している。


■「飲んでみたい」と思わせられたら大成功

ーー実は日本酒って飲まず嫌いだったのですが、見終わったあとに、ちょっと飲んでみようかなという気持ちになれました。

小西監督(以下、小西):そういう方に見ていただきたい映画です。それでもう大成功です(笑)。

ーーまず、この映画を作られたきっかけを教えて下さい。もともと長編ドキュメンタリーを撮ろうとテーマを探してらっしゃったのでしょうか?

小西:正直言うと、長編の劇映画を作りたいというのが人生の目標としてあるんです。ただ、映画作りのほうがあまり上手くいかなかったことや、ライターの仕事が忙しいこともあって、一時期あきらめていたんですね。だけど、2011年にハリウッド外国人記者クラブに入って、旬な人を年間大勢取材できるようになったんです。なので、それ以前のように、取材の手配で焦る必要がなくなった。これで生活がわりと安定したなと思ったので、もう1回映画のほうをチャレンジするべきじゃないかと考えたんです。だけど、いきなり劇映画は難しい。ドキュメンタリーの長編なら自分の今のスケジュールを維持しながら、並行して小さな予算でできるかなと思ったのが、そもそものきっかけです。

ーー映画のターゲットとしては、どのあたりを狙おうと企画を考えたのですか?

久慈浩介さん(『カンパイ!世界が恋する日本酒』より)

久慈浩介さん(『カンパイ!世界が恋する日本酒』より)

小西:何にしても、ドキュメンタリーを作るなら、いろんな人に見てもらう作品にしたかったんです。僕は米国で映画を学んだので、一応、向こうの人にうけるようなものが作れる。自分なりに海外向けにアレンジして日本文化を紹介する作品を作りたいなとは思っていました。そんな時、たまたま久慈さんに出会って、日本酒のドキュメンタリーはどうかと思ったんですね。

ーートークが明瞭で、とても面白い方でしたね。

小西:ナレーターが説明してくれる形とか、または有名人が語り部として出てくるパターンはイヤだったんです。僕としては、本人たちが喋ったセリフを編集していくパターンで作りたかったんですけども、日本人はそれがすごく難しくて。すごい仕事をされている方でも、言葉で表現するのが苦手な人が多いじゃないですか。特に職人はそうなんですよ。でも、久慈さんはその対極にある人で(笑)、講演などもいっぱいやってらっしゃるので、慣れている。これは助かったと思いました。

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