フランス映画祭2016が開幕!
6月24日、有楽町朝日ホールにてフランス映画祭2016オープニングセレモニーが行われ、4日間にわたる映画祭が始まった。今年が24回目となる映画祭では、イサベル・ユペールを団長として迎え、彼女の主演2作品『愛と死の谷』『アスファルト』をはじめ、新作映画12本、今年初めに亡くなったジャック・リヴェット監督作品を追悼するクラシック作品1本の全13本が上映される。
冒頭、映画祭のため特別に編集された、イザベル・ユペールのこれまでの出演作品のハイライト・シーンを集めた映像が流された後、ご本人が登場。彼女のスレンダーなボティに、真っ赤な上着と黒のパンツスーツのファッションがよく映え、壇上がパッと明るくなる。第一声の「コンバンハ。ワタシトテモシアワセデス」という日本語の挨拶で、会場は大いに盛り上がった。
イザベル・ユペールは「日本で撮影することになれば、日本語を学ぶことになるでしょう。日本でぜひ撮影したいと思います。なぜならフランスは日本の映画が大好きだからです。また、私は日本文化も好きで、とても身近に感じています。黒澤、溝口、小津、大島監督の映画を観て育ちました。また、私はブノワ・ジャコ監督の撮った三島由紀夫原作の作品に出演していますし、だいぶ前のことですが、ジョセフ・ロージー監督『鱒』という作品の、日本でのロケにも参加しています。その時には、東京、京都、富士山のふもとにも行くことが出来ました」と、自身の日本との関りを披露。満員の観客席を見つめ「会場が多くの人で埋まっているのを見てとても嬉しく思っております。とてもよい映画祭になることでしょう」と、挨拶を締めくくった。
つづいて、カンヌ映画祭とも縁が深い是枝裕和監督が登壇、イサベル・ユペールに花束を贈呈した。是枝監督は、一昨年、モロッコのマラケッシュ映画祭で日本映画の特集があった際、団長務め、その際、壇上で迎えてくれたのが、イザベル・ユペールであったことを披露。「今回はユペールさんが団長で日本にやってくるということで、これは僕が駈けつけないで誰が駈けつけるんだという気持ちで、ここに来させていただきました」と、その思いを語った。
是枝監督は、「今年は黒沢清監督がフランスで撮った映画(『ダゲレオタイプの女』)が日本でも公開されます。今後、日本とフランスの共同製作というのが、増えてくるだろうと思いますし、増えていくべきだと自分でも考えています。色々な形でお互いの国の映画が交流し合い刺激し合って、新しい映画がどんどん生まれて行くことを願っています」と、今後の両国映画界への希望を述べた。それに対して、イザベル・ユペールは「是枝監督のおっしゃったことにジンときました。監督を私はとても尊敬しております。彼の作品は、家族の関係をとても深く、感受性豊かに、人間性豊かに描いているもので、それ故にユニバーサルな価値を持ったものであります。チェーホフのような偉大な人だと思っております」と是枝監督を絶賛し、それに答えた。
つづいて、ロッド・パラド(『太陽のめざめ』出演男優)、フランソワ・ファヴラ(『ミモザの島に消えた母』監督)、ローラン・ラフィット(『ミモザの島に消えた母』出演男優)、パスカル・プザドゥー(『The Final Lesson(仮題)』監督)、マルト・ヴィラロンガ(『The Final Lesson(仮題)』出演女優)、ウニー・ルコント(『めぐりあう日』監督)など12名の豪華なゲストが紹介された後、さらに、スペシャルゲストとして、今年のカンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞した『淵に立つ』の深田晃司監督、浅野忠信が登壇した。
深田監督は最初、「高校時代に観たクロード・シャブロル監督の『主婦マリーがしたこと』以来、ずっとファンとして観てきた女優さんだったので、こうして同じ舞台に立てることが本当に夢のようです」と、やや緊張した面持ちだったが、「韓国とフランスが合作協定というのを作って合作しやすい形を作っているのに、日本ではまだそういった整備はなされていません。フランス映画祭など毎年行われているひとつひとつの活動を通じて、結びつきが強くなることを強く期待しています」と、自身の願いを語った。
一方、浅野忠信は、イザベル・ユペールの隣りで、終始ご機嫌な様子。「僕はイザベル・ユペールさんの大ファンでして、10年くらい前に来日した時にもお会いしているんです。今回またお会いできたことが本当に嬉しくて、今日はぜひ深田監督に今後、イザベルさんと使って映画を作ってほしいと、そんなアピールをしにきたようなものです」とにこやかに語り、会場の笑いを誘っていた。
【フランス映画祭2016】
日程:6月24日(金)〜 27日(月)
場所:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)
団長:イザベル・ユペール
*フランス映画祭2016は、プログラムの一部が、福岡、京都、大阪でも上映されます。
公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2016/
Twitter:@UnifranceTokyo
Facebook::https://www.facebook.com/unifrance.tokyo
主催:ユニフランス
共催:朝日新聞社
助成: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
後援:フランス文化・コミュニケーション省-CNC/TITRA FILM
協賛:ルノー/ラコステ/エールフランス航空
運営:ユニフランス/東京フィルメックス