『女が眠る時』ウェイン・ワン監督インタビュー

主人公の小説家役の西島秀俊さんは、「キャラクターを私の分身のようなものとして演じようとしていた」

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ー監督の過去作を見ると、その舞台やテーマが実に多様です。監督がいろいろな可能性を模索しているがゆえの結果なのでしょうか?

飽きっぽいんです(笑)。私の育った環境にも関係があると思います。英国の植民地であった香港で非常に伝統的な中国人の親に育てられ、その後勉学のためにアメリカに渡りました。異なる街、異なる文化が大好きです。今はサンフランシスコに住んでいますが、サンフランシスコ、ニューヨーク、東京…どんな街でもその街自体やそこで暮らす人々に惹かれるものがあり、異なる場所で映画を作るのが楽しいのです。

ー環境に対して柔軟な性格なのですね。

とても柔軟だと思いますよ。今の若い人たちを見ていると、世界中を旅したり、インターネットのおかげでとてもグローバル化された環境にあることを心地よく思っているのだと感じますが、私自身も12歳ぐらいからそんな感じでした。高校生の頃、わざわざ遠回りして学校に通っていたりしたのですが、自分が住んでいるエリアだけじゃなく、もっと街のいろいろな所を知りたい、探索したいという気持ちが強かったんです。

ー近年のハリウッドでは中国市場を狙った映画作りが顕著になっています。ワン監督のところにも、そうした作品の監督オファーが寄せられるのではありませんか?

何度も来ています(笑)。特に『雪花と秘文字の扇』(2011中国映画週間で上映)を撮ってからは。多様な文化があるなかで、実は中国に戻ることに一番興味がないのです。なぜならよく知っている文化だから。いろんな意味でタフな場所ですしね(笑)。

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Profile of Wayne Wang
1949年、香港生まれ。18歳でアメリカ・カリフォルニアに移住。オークランドのカリフォルニア美術工芸大学で映画制作を学ぶ。処女作はリック・シュミットと共同監督した卒業制作の「A Man, A Woman, a Killer」(75)。サンフランシスコの中国系タクシー運転手をテーマにした低予算の監督第2作「Chan is Missing」 (82)がニューヨークの批評家に絶賛される。『ジョイ・ラック・クラブ』(93)で映画ファンの注目を集め、『スモーク』(95)がベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた。その他の代表作は『ブルー・イン・ザ・フェイス』(95)、『チャイニーズ・ボックス』(97)、『赤い部屋の恋人』(01)、『メイド・イン・マンハッタン』(02)など。『千年の祈り』(07)でサン・セバスチャン国際映画祭金貝賞(最優秀作品賞)を受賞した。

『女が眠る時』
監督:ウェイン・ワン
原作:ハビエル・マリアス「女が眠る時」
脚本:マイケル・K・レイ、シンホ・リー、砂田麻美
出演:ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ、リリー・フランキー、新井浩文、渡辺真起子
配給:東映
(C)2016 映画「女が眠る時」製作委員会
2016年/日本/103分

2月27日(土)より全国にて公開
http://www.onna-nemuru.jp/

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