【TNLF】グッバイ!ベルイマン
【作品解説】
ウディ・アレン、コッポラ、スコセッシ、ウェス・アンダーソン、ハネケなど数十人におよぶ有名監督、俳優たちが、カメラの前でベルイマンへの愛の告白とも言える想いを吐露していく。ベルイマンとの抱擁に泣き崩れるアン・リー、抱腹絶倒の精神分析に巨匠への愛憎が露呈するトリアーなど、ベルイマンファンならずとも必見の貴重な記録。(トーキョーノーザンライツフェスティバル公式サイトより)
【クロスレビュー】
藤澤貞彦/映画人はベルイマンがお好き度:★★★★☆
「『第七の封印』は今観ると、古臭い。コメディのようだ。すごく笑える」こんな発言をしたのは、ジョン・ランディス監督。ベルイマンのビデオ・ライブラリーを見て、「いやー、ハマー・フィルムのホラーがある。これ駄作なのに」などと喜んでいた彼は、なぜベルイマン邸に呼ばれたのだろう。しかしこの作品は、集めた監督、俳優が、必ずしもベルイマン神様みたいな人だけではないところがミソなのである。もっとも悪態をついているのは、毎度お騒がせ、ラース・フォン・トリアー監督。その理由はのちほどわかる。それにしても、彼に関しての扱い(編集のイタズラ)を観ていると、このドキュメンタリーの監督は、人が悪い。彼と仲がいいからなのか、その逆か。結局、冒頭のジョン・ランディス監督は、夕焼けのあまりの美しさに、ベルイマンに感謝を捧げることとなり、映画人にとっていかにベルイマンが特別な存在かを強調する役目を負わされていた。
鈴木こより/一言も聞き逃したくないほど面白い度:★★★★★
観る者の教養や感性が問われるベルイマン作品。恥ずかしながら、置き去りにされることも少なくない。そんなベルイマンの作品について、名だたる一流監督たちが鑑賞当時の自身のことを振り返りながら熱く語る。贅沢かつ貴重で、ありがたい映画だ(シリーズ化してほしい)。もちろん絶賛の嵐というわけでもなく見方の違いから評価の割れる作品もあるが、同時に、同じ作品を評することでコメントする側の”人となり”も浮かび上がってくるのが二重に楽しい。お茶目なスコセッシ、オタクなアレン、何を言ってもエレガントなハネケ、そしてここでもブラックユーモア全開のフォン・トリアー。トリアーにかかればベルイマンも“エロおやじ”になってしまうのだが、憎まれ口の理由がラスト明らかになる。エンドロールも見逃さないでほしい。
▼トーキョーノーザンライツフェスティバル 2016▼
「北欧映画の一週間」
会期: 2016年2月6日(土)~2月12日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト: http://www.tnlf.jp/index.html
(他にもイベントが盛り沢山。詳しくはこちらで)