オデッセイ

映画と。ライターによるクロスレビューです。

【作品解説】

mainハリウッドの超一流スタッフ&キャストが集結し、新人作家アンディ・ウィアーによる驚異的なベストセラー小説の映画化を実現。アカデミー賞に輝く巨匠リドリー・スコットが圧倒的なリアリティとスリルみなぎるヴィジュアルを創出し、マット・デイモンが究極の極限状態においても人間性を失わない主人公マークをこのうえなく魅力的に体現する。そして絶望的な火星での孤独なサバイバル・ドラマは、地球上の全人類が一致団結する救出作戦へと発展。まさしくこれは、たったひとりの男の不屈の挑戦が、心揺さぶる“史上最大の奇跡”をたぐり寄せるアドベンチャー超大作だ。

【クロスレビュー】

外山香織/エナジー充填系映画度:★★★★★

宇宙空間で孤軍奮闘する映画と言うと、最近では『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』などあるが、この作品の持つ明るさはとても好感が持てる。マークはアクシデントで火星にたったひとり置いてきぼりにされてしまうが、自分の持てるものを総動員させて困難に挑んでいく。自分で自分を外科手術する、スパイ映画でよく見るシーンも。窮地にあったときに自分の知識、技能、経験は身を助く。平たく言えば究極のDIYなのだが、これを見てると日常生活でもやっぱり一通りのことは自分でできた方が良いなと素直に思ってしまう。次から次へと降りかかる難問も、問題点を整理し、策を講じ、検証し、対処していく。彼を帰還させようとする地球の人間も同様だ。つまりこれって案外火星じゃなくてもいい話。宇宙に行かなくても十分に生き難い今の時代、これ以上悪くならないようにとくよくよ考えてしまうようなことも、マイナスをゼロへ、そしてプラスに変えてゆく上向きのベクトル。「生きてるだけでいい」よりも、もう1歩先に進める、エナジー充填系映画だ。

鈴木こより/やっぱり人間的魅力と音楽はだいじ度:★★★★☆

ひとりぼっちの火星で生き残る。やはりそれなりの知力と体力がないと無理だろう。しかし、それだけでは難しい。想像を超えるタフな状況で、どのようなタイプの人間が生き残れるのか、ということを描いた映画だと思う。この主人公には、知識を応用できる豊かな想像力と、突き抜けたポジティブさがある。ただ明るいだけの薄らポジティブではなく、彼のそれは己をコントロールする知性に支えられたもの。その上、「人類の一歩のために自分を捧げる」という高い志があるから、絶対にあきらめない。信頼関係を築いている仲間も、地球で見守る人間も、そんな彼だからこそ生かしたいと思うのだろう。痛々しいほどの清々しさと抜群のコミュニケーション力に魅了され、観客も手に汗握りながら応援してしまう。やっぱり最後は人間力なのかもしれない。あとは孤独を癒してくれる音楽の存在も無視できない。


©2015 Twentieth Century Fox Film
2016年2月5日よりスカラ座他全国ロードショー

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    オデッセイ/火星で独りになっちゃった!

    オデッセイThe Martian/監督:リドリー・スコット/2015年/アメリカ 秀才ポジティブ最強です。 飛行機内で鑑賞。公開は2月5日です。 あらすじ:火星でひとりきりです。 火星探索をしていたマーク(マット・デイモン)は砂嵐に遭ってギャー死ぬ。って言ってるあいだに仲間がみんな移動しちゃって、えーっこのままだと死ぬ。ってなります。 ※ネタバレはありません。 マークのキャラクターについては書いています。おすすめポイントすがすがしいほどのポジティブさと知識があるってすごいことだよね。しめっぽいところ…

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