【TNLF】メン&チキン
【作品解説】
冴えない大学教授の弟ガブリエルと、女とトリビアにしか興味がない兄エリアスは、父の死後、彼が自分たちの生物学的な父親ではなく、それぞれ母親も違うことを知らされる。そこで、本当の父親を訪ねた二人は、さらに三人の異母兄弟に遭遇する…! 家畜だらけの寂れた屋敷で、クセ者揃いの男たちが巻き起こす奇想天外なルーツ探し狂想曲。(トーキョーノーザンライツフェスティバル公式サイトより)
【クロスレビュー】
藤澤貞彦/マッツさまのどこまでやるの(マツドコ)度:★★★★☆
これはもう、思いっきり変な映画である。誰が映画を観る前に、あのようなマッツ・ミケルセンを想像できるであろうか。おかしな喋り方をし、時間が来るとどこでもかしこでも、マスターベーションしなければいられないという困った性癖を持ち、おまけに変な顔をしている。マッツとその弟が、本当の父親を探しに行った先の、彼らの兄弟たちも輪をかけて変である。この作品は、不気味な彼ら兄弟たちと、謎の多い大きなお屋敷の秘密が明らかになるにつれ、怪奇映画の様を呈してくるのだが、怖くなるのではなくて、ますます可笑しくなってくるのが、やっぱり変である。しかしながらこの作品、本作の監督アナス・トマス・イェンセンが脚本を担当している、スサンネ・ビア監督の『真夜中のゆりかご』他一連の作品と、実はある共通点があることに気が付く。彼の根っこの部分がこの作品で、それを洗練させるとスサンネ・ビア作品になる。そう解釈しよう。もっと監督を!もっと変な映画を!
鈴木こより/こんなマッツ様見たことない、でも案外ハマってる?!度:★★★★★
最初マッツ・ミケルセンが登場した時は、「本当にあのマッツ様なのだろうか?」と目を疑った。デンマークの至宝とまで言われる俳優が、こんな変人を嬉々として演じるものだろうか、と。まともな人はほとんど出てこない変わった物語なのだが…
義父母に育てられたマッツ演じる男は、出生について知るため実父の家を訪れる。そこには一度も会ったことのない異母兄弟がいて、何かを必死に隠している。いい歳をした大人の男たちが子供みたいな、まるでドリフのコントのような兄弟喧嘩をはじめたり、騒動を巻き起こすから可笑しくてしょうがない。北欧にもこんな笑いがあったのか!そして出生の秘密も分かり、兄弟がそれぞれ持つ個性の理由も明らかになる時、この物語の独創的な世界観にあらためて驚嘆するのである。この監督は長編4作を撮っているとのことだが、他の作品も観てみたい。
▼トーキョーノーザンライツフェスティバル 2016▼
「北欧映画の一週間」
会期: 2016年2月6日(土)~2月12日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト: http://www.tnlf.jp/index.html
(他にもイベントが盛り沢山。詳しくはこちらで)