【TNLF】ソング・フォー・イェテボリ
【作品解説】
イェテボリに暮らすポールは音楽で成功することを夢見ていたが、 人前で演奏しようとするとパニックを起こす弱点があった。幼なじみのジョニーとレナはそんな彼を支えてきたが、ポールはジョニーの恋人エヴァを好きになっ てしまい…。当地出身の人気ミュージシャン、ホーカン・ヘルストレムの楽曲に乗せて繰り広げられる友情と恋の物語。(トーキョーノーザンライツフェスティバル公式サイトより)
【クロスレビュー】
藤澤貞彦/ミュージカル化してもらいたい度:★★★★☆
かつて『ONCE ダブリンの街角で』でが、ミュージカル化されたように、本作もミュージカル化できるのではないかという思いがする。いや、ぜひそれを希望したい。第一、全編に流れる、イェテボリ出身の人気ポップ・アーティスト、ホーカン・ヘルストレムの曲が大変魅力的である。ABBAの曲を散りばめたミュージカル「マンマ・ミーア!」のようにそれは素敵なものになることだろう。物語も、4人の主人公たちを中心に、友情や恋、誤解や嫉妬、野心や暴力と様々な要素があり、ミュージカル向きと言える。また、例えばポセイドン像の噴水の前で歌われる愛の歌のように、すでにミュージカル的な演出が随所に見られることも、その思いを強くさせてくれる。ただ、主人公が人前に出ると歌えない、それをどう演出するかが、ポイントになることだろう。映画は、その辺をとてもうまく見せていたのだが、舞台では一体?考えれば考えるほど興味が尽きない。
鈴木こより/夏のスウェーデンを旅したくなる度:★★★★☆
若くて才能豊かな主人公が、幼なじみの仲間たちに支えられ、致命的なコンプレックスを克服していく、という爽やかな青春物語かと思いきや…裏切りや三角関係、さらには命まで狙われる事件まで!と想像の斜め上をいく展開。だけど、ドロッとした空気を感じさせない仕上がりになっているは、海辺の街イェテボリの温かみのある可愛らしい風景と、ホーカン・ヘルストレムの楽曲からインスパイアされたという世界観のせいだろう。演出のイメージとして、ビートルズの楽曲を紡いだ『アクロス・ザ・ユニバース』に近いものを感じたが、本作はスウェーデンの地元の文化や魅力も堪能できるカラフルな作品。
▼トーキョーノーザンライツフェスティバル 2016▼
「北欧映画の一週間」
会期: 2016年2月6日(土)~2月12日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト: http://www.tnlf.jp/index.html
(他にもイベントが盛り沢山。詳しくはこちらで)