【TNLF】ビートルズ

「イエスタディ」という邦題で劇場公開。映画と。ライターによるクロスレビューです。

【作品解説】

ビートルズ67年、オスロ。ビートルズに憧れる高校生4人組は、ライブ出演が大きな夢。アルバム「サージェント・ペパーズ」に針を落とした時の驚きと喜び、ほろ苦い ライブデビュー、転校生との恋、車のエンブレム泥棒など、少年たちの友情と音楽と冒険の日々が、ビートルズの楽曲とともに綴られていく、ノルウェー版青春 グラフィティ。(トーキョーノーザンライツフェスティバル公式サイトより)

【クロスレビュー】

藤澤貞彦/ザ・ビートルズよ永遠に度:★★★★☆

映画の舞台となった「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が発売された67年夏、この前後からザ・ビートルズ解散の噂がしばしば流れるようになった。一方、ペーテル・フリント監督が映画の主人公たちの年齢の頃、逆にザ・ビートルズ再結成の噂がしばしば飛び交った。この映画のタイトルは、“ビートルズ”。定冠詞はない。原作者にとっての、監督にとっての、音楽を担当したA-haのマグネ・フルホルメンにとっての、そして映画の少年たちにとってのビートルズ。それぞれの人の中にあるビートルズ。だから定冠詞がない。ザ・ビートルズは解散前から既にクラシック・スタンダードになっていたのだ。“ペイパーバック・ライター”主人公キムの書いた自分史は、人から見れば三文小説並みの中身でも、そこにはブルースの魂がある。“ビートルズ”その言葉の響きが、音楽が、魔法のように、映画を、彼らの青春を輝かせる。

鈴木こより/ビートルズのファンじゃなくても楽しめる度:★★★★☆

ビートルズに憧れる4人の少年の、思春期の1ページを切り集めた青春グラフィティ。登場する少年、少女たちの初々しく、瑞々しい魅力がスクリーンいっぱいに弾け飛ぶ。若いってなんて素晴らしいんだろう! と素直に感動してしまう。好きなアーティストの新譜を手に入れて、音が流れてくるまでの間のワクワク感や、目と目が合って恋に落ちる瞬間のふわーっとした感じ、先が見えなくてザワついた気持ち。国や時代を超えて、誰もが経験するような感情を、捻ることなく真っ直ぐに表現しているところも感情移入しやすくて好感。どのシーンを切り取っても絵になるような、こだわりの画作りも見どころだろう。この年頃だけの甘酸っぱい想い出を共有できる作品。


▼トーキョーノーザンライツフェスティバル 2016▼
Key Visual「北欧映画の一週間」
会期: 2016年2月6日(土)~2月12日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト: http://www.tnlf.jp/index.html
(他にもイベントが盛り沢山。詳しくはこちらで)

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