【TIFF】FOUJITA(コンペティション)

映画と。ライターによるクロスレビューです。

【作品解説】

FOUJITA『死の棘』『泥の河』『眠る男』など海外で高く評価される小栗康平監督10年ぶりの新作。フジタが生きたふたつの時代とふたつの文化の差異に注目し、伝記映画の枠にとどまらないオリジナル脚本を書き上げた。主演のフジタには、本作で欧州初進出となるオダギリジョーが、フランス語を猛特訓して挑んだ。妻の君代役には中谷美紀。ほか加瀬亮、りりィ、岸部一徳。フランス側のプロデューサーは、『アメリ』を手掛け世界的に大ヒットさせたほか、アート系の作品も数多く手掛けるクローディー・オサール。圧倒的な映像美で、フジタの知られざる世界を描く話題作。(TIFF公式サイトより)

【クロスレビュー】

北青山こまり/ランスのフジタ礼拝堂に行ってみたくなる度:★★★★★

場面がうつりかわるたび、美術館で絵画を1枚1枚見てまわっているような気持ちになっていたので、前半のパリから後半の日本に切り替わったときは、まったく別の部屋に飛び込んでしまったかのようで驚いた。オダギリジョーの演じるフジタは、悪ふざけをしている姿にも品があり、おかっぱ頭とロイドメガネもよく似合う。戦時中、国に描かされた「アッツ島玉砕」の生々しさはスクリーンを通してもすさまじく、フーフーと呼ばれるのを好んだ陽気な若者がのちにこの絵を描くに至ったことに胸が痛んだけれども、後から考えると、彼自身はそういう時勢の流れから身を引いて、次になにを描くかだけを淡々と探していたようにも思える。これが画家の執念というものなのかと、鳥肌がたった。

鈴木こより/オダギリジョーが役にハマってる度:★★★★☆

映画の舞台はフランスでの狂乱の生活から、日本での戦時中の生活にガラッと変わる。フジタの描く絵も裸婦像から戦争絵画に変わる。でもフジタ自身は変わらない。人や時代が求めるものを淡々と描き続ける。彼がどういう気持ちで描いていたのかは分からない。
光と色の陰影と、役者の表情をクローズアップしない引いたショットが印象的。ただ、あまりに美しく静謐な映像だっただけに、一瞬夢の中に落ちかけたりも…。監督曰く「伝記的な作品にこだわらなかった」とのことだが、フジタの内面が見えてこないオダギリジョーの演技と語りすぎない演出こそが、したたかに画家として生き抜くことができた彼の本質を表しているのかもしれない。


製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション
126分 日本語、フランス語 カラー | 2015年 日本=フランス | 配給:株式会社KADOKAWA


【第28回東京国際映画祭】
開催期間:2015年10月22日(木)〜10月31日(土)
会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿バルト9、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ新宿、東京国立近代美術館フィルムセンター、歌舞伎座
公式サイト: http://2015.tiff-jp.net/ja/

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