【LBFF】第12回ラテンビート映画祭が開幕!

情熱のラテン映画の祭典に『情熱のシーラ』のヒロインが華やかに登壇!

集合写真10月8日(木)新宿バルト9 シアター5において、第12回ラテンビート映画祭オープニング・セレモニーが行われた。アルベルト・カレロ・ルゴ (ラテンビート映画祭プロデューサー&プログラミング・ディレクター)のエスコートで、アドリアーナ・ウガルテ(『Closed Rooms』主演女優)、ベルナ・エリアス・リスボナ(『バルセロナ 3D 炎のバラ』プロデューサー)、カレ・サントス(『Closed Rooms』原作者) ハイロ・ブスタマンテ監督(『火の山のマリア』)が登壇した。(右写真順)

初めにアルベルト・カレロ・ルゴ映画祭プロデューサーが、映画やドラマ、料理など、ラテン文化が今世界的なブームになっていること。それが世界でどのように受け入れられているかを、色々な角度から観ていただきたいと、本映画祭の意義を説明し、開会を宣言した。

アドリアーナ・ウガルテ

シーラ!アドリアーナ・ウガルテ

そうしたブームの中、NHKで放映され、先日終了したばかりのスペインのドラマ『情熱のシーラ』。その主演女優アドリアーナ・ウガルテは、次回作としてペドロ・アルモドバル監督の「Silencio」に出演するという情報も伝えられており、注目度が急上昇中の人である。日本の印象を尋ねられた彼女は「コンバンハ。ニホンニコレテ、ウレシイデス。ミナサントテモヤサシイデス。ドウモアリガトウ」と、日本語で答え、会場から大きな拍手を受け、場内を一気に和やかな雰囲気にしてしまった。人を幸せな気持ちにさせるような、チャーミングな笑顔が、とても印象的だ。

一方、グァテマラから来日したハイロ・ブスタマンテ監督は、「これだけ多くの人が住んでいる街、東京で秩序が保たれていることに、驚きを感じました。というのも、こちらに着いた日にセブンイレブンで水を買ってホテルに戻ったのですが、翌朝財布を忘れたことに気が付き、慌てて警察に届け出たんです。そうしたら財布はすでに届いていて、お金もクレジットカードもすべてそのまま入っていたのですね。本当に感謝感激でした」と、実感のこもった感想を披露した。

すると、以前にも来日経験があるカレ・サントスも「うちのお隣りに親しくしている日本の人が住んでいまして、日本に行くから何か欲しいものないって聞いたら、食べ物のとても長いリストを渡されました。ところが、こちらに来てデパートの食料品売り場に行ったのですが、日本語でしか書いてなかったため大変戸惑っていたところ、店員がそのリストを見て買い物を手伝ってくれ、会計するところまで付き合ってくれたのです。そういう国はまず他にはないと思います」と、日本人の親切さを絶賛した。

ベルナ・エリアス・リスボナ

ベルナ・エリアス・リスボナ

また、オープニング・セレモニー終了後に上映される『バルセロナ 3D 炎のバラ』に先立ち、プロデューサーのベルナ・エリアス・リスボナは、作品の説明をした。「きっかけは92年のバルセロナオリンピックの時の40分の短編にまで遡ります。そして5年前、同じ監督で、色々な角度からバルセロナを紹介する作品を作るというプロジェクトがスタートしました。観光地として有な名な場所から、無名の場所まで、そこに住む人たちの人間関係や、彼らをとりまく環境を描くことに挑戦しています。ナレーションは、日本では菊地凛子さん、アメリカではウディ・アレンというように、バルセロナと何かしら関りのあった人たちを選んで、お願いしました」

第12回ラテンビート映画祭は、本日新宿バルト9を皮きりに、梅田ブルク7、横浜ブルクにて、革新と伝統が入り混じる全17作品が上映される。詳細は下記のとおり。

『バルセロナ 3D 炎のバラ』レビュー

バルセロナ3D
本作は、ドキュメンタリーとはいえ、何組かのカップルを配置し、そのドラマをドキュメント映像の端っこのほうで演じさせながら進んでいくという、独特のスタイルを取っている。いわばノンフィクションの中にフィクションが紛れ込んでいるのだ。その演出に、住んでいる人たちの気持ちの部分まで感じさせたいという、製作者の思いを感じさせられる。言うなれば、本作は、単なる観光映画というよりは、バルセロナの街に住んでいるような気分になれる作品である。3Dカメラが、路地の奥深くへと入っていく高揚感。カメラはCGを利用した編集の力によって、格子や窓ガラスもするりと通り抜け、路地や部屋、空を自由に動き回る。空っぽの空間は一つもない。常にそこには人がいて、通りは群衆が埋め尽くす。そのパワーのすごいこと。

バルセロナは、カタルーニャ自治州の州都。州議会選挙が行われ、スペインからの分離独立を掲げる政党が過半数の議席を獲得したというニュースが、まだ耳に新しいところ。作品の中でも、分離独立を掲げるデモの様子が写されていたりする。そう考えると、この作品は、バルセロナの魅力を伝えるということだけでなく、スペインに対するカタルーニャの文化の独自性を伝えるという、大きな目的も持っているのではなかろうか。ムスリムたちのお祭りに「わからないことには口を突っ込まない。それはバルセロナの寛容さに繋がっている」というナレーションが被さるところに、カタルーニャ人たちの本音が隠されているような気がした。

▼作品情報▼
原題:Barcelona la rosa de fuego
製作:ベルナ・エリアス・リスボナ
監督:マヌエル・ウエルガ
声の出演:菊地凛子
(2014年/ドキュメンタリー/スペイン/100分)


【来日ゲスト情報】
■10月9日(金)
『Closed Rooms』 (160分)
18:30〜上映前 +  21:10〜上映後
登壇ゲスト:アドリアーナ・ウガルテ(主演女優)、カレ・サントス (原作者)
■10月11日(日)
『火の山のマリア』 (93分)13:30〜回 上映後 15:03〜
登壇ゲスト:ハイロ・ブスタマンテ (監督)
※なお、『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』ゲスト:アレックス・デ・ラ・イグレシア監督、カロリーナ・バングは、ご本人の都合により中止になりました。


▼第12回ラテンビート映画祭開催概要▼

ポスター
【東京】10月8日(木)~12日(月・祝)
会場:新宿バルト9(新宿三丁目イーストビル9階)
【大阪】10月23日(金)~25日(日)
会場:梅田ブルク7
【横浜】10月30日(金)~11月1日(日)、3日(火・祝)
会場:横浜ブルク
公式サイト:http://www.lbff.jp/
©LBFF2015実行委員会

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