辛酸なめ子、理想の男性ファッションを語る「ロバと王女」トークショー

辛酸なめ子さん(右)と伊藤さとりさん(左)

18日(土)童話をテーマにした映画上映会「フェアリーテイル・シアター」がシネマート六本木で開催された。『ロバと王女』上映後のトークショーに、コラムニストの辛酸なめ子さんと、ファンタジー映画の大ファンという映画パーソナリティの伊藤さとりさんが登場し、本作の見どころを語った。話は、15日に発売されたばかりの話題作、齋藤智裕(水嶋ヒロ)著の『KAGEROU』にまで及び、ガールズトークの炸裂に観客はおおいに魅了された。

『ロバと王女』の見どころについて

「ロバと王女」フランス版ポスター

若き日のカトリーヌ・ドヌーヴが、これでもかというほど、その美貌を披露する『ロバと王女』。「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ監督が、1970年に制作した豪華絢爛のファンタジーだ。2004年にデジタルニューマスター版が公開され、ベルリン国際映画祭で上映されたことも話題を呼んだ。

辛酸さんは、「いま見ても楽しめる普遍性のある作品だと思います。おとぎ話なのに、妖精のアドバイスがすごく現実的だったり、ちょっとずつ笑えるシーンがあるんですよね。ミュージカルで悪口を歌う、というのも印象的な演出でした」と感想を述べたあと、「ドヌーヴ扮する王女が王子にケーキを作ってあげるシーンは可愛かったです。ただその時には、王女は王子をほんの一瞬しか見ていなかったので、結局、王子という立場に惹かれたのかなという気もしました」と、女子視線の鋭いツッコミで会場を沸かせた。

伊藤さんも、「おとぎ話なのにヘリコプターが出てきちゃったり、不思議な世界観でした(笑)。王様がお后候補の肖像画を見て、『ブスはダメ!美しいものしか許せない』というシーンでは、ジャック・ドゥミ監督って本当にシュールだなと思いました」と語り、客席の共感を誘った。

劇中では“青の国”と“赤の国”が登場し、城内の使用人の顔が国色にペイントされているが、それについて辛酸さんが、「『アバター』は本作にインスパイアされたのかなと思いました」とコメントすると、会場からふたたび笑いが。伊藤さんは「どちらの国か判りやすくなっていますね。そういった演出というか、計算がきちんとなされています。ひとつひとつの美術もスゴい。王子の屋敷に行くと椅子にドラゴンがいたり、ギリシャ神話のメデューサみたいなのもいたりして、いろんな神話が詰まっているようで本当に面白かったです」と、本作の世界観やその魅力を語った。

辛酸さんはヨーロッパの王族が掲載されている「Royalty」(洋書)という雑誌を紹介し、「最近の王族はスーツばかりでつまらないです。映画の中の王子様の衣装は袖の膨らみがすごくて・・・理想です」と、王子ファッションの“萌え”ポイントを告白。皇室ウォッチャーとしての一面も覗かせた。

水嶋ヒロの『KAGEROU』は映画化を意識?!

映画化してほしい原作やキャストについて訊かれた辛酸さんは、「水嶋ヒロの監督・主演で『幸福の王子』をやってほしいです」と答え、「博愛の心をもった王子像が、体についた金箔とか宝石をいろんな人に分け与えるんですが、水嶋ヒロの『KAGEROU』にも、臓器を人にあげるような話があるので」とその理由を語った。「え、もう読んだんですか?!」と驚く伊藤さんに感想を求められると、「えーっと、そうですね、読みやすい感じです。親が登場する感動の回想シーンとか、心臓が悪い美少女が出てくるシーンとか、映像にしたら良さそうなシーンが結構ありました。映画化への野心をすごい感じましたね」と答え、この日一番の爆笑を誘った。

伊藤さとりさん

一方伊藤さんは、「『うる星やつら』が好きなので見てみたいです。実際に映画化したいという監督は多いんですが、ラムちゃんを演じる女優さんが当てはまらないそうで…。誰がいいと思いますか?AKB48の前田敦子さんは、結構イイ線いけるんじゃないかと思いますが…」と言い、意見を促すと、「ゴマキ(後藤真希)とかどうですか? 胸とかいくらでも大きくなりそうですし」と、毒を含んだコメントでそれに応じた。

最後は伊藤さんが、CGを使わず手書きアニメーションであるディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』を次回の上映作品にリクエストし、トークショーが終了。大人のガールズトークは、女性たちに多くの共感と笑いをもたらした。

今回の上映会は、バンタンデザイン研究所という専門学校の生徒と大学生からなる12人の実行委員により、企画・運営された。準備期間には約半年を要したという。実行委員長の石井真理さんは、「近年、童話を原作とした作品が再び注目されていますが、ほとんどが3DやCGを多用しています。本来の童話の持つ魅力や世界観を表現している作品を上映したいと思い、企画しました」と語り、次回上映にも意欲をみせた。

全員プレゼントのブックマーク「stipee」とカメヤマキャンドルハウスの「ハート型キャンドル」

▼ 取材後記

名作を劇場で体感することの興奮と悦び。観賞後のガールズトークもまた妙味である。この素晴らしい上映会を企画・開催したのは若い情熱で、それを目の当たりにした私も3歳ほど若返った気分で劇場を後にした。しかも、ステキなお土産付き! 次回上映も全力で支持したい。

取材・文 鈴木こより

■フェアリーテイル・シアター

主催:Fairy Tale Theater実行委員会

協賛:バンタンデザイン研究所

公式HP:http://fairy-tale-theater.jimdo.com/

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